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カミトキ  作者: 稗田阿礼
第一章 学園編
43/129

1-40.帆船レース5





「敵、魔法到達可能圏内に入りました。」

「私がやる。」

 アカディアは気を引き締めてそう言った。流石に相手も魔法は避けられないはずだ。避けても追いかけてくるのだ。そして、船に一番効果的なのはやはり炎魔法。

「ファイアーボール。」

 アカディアは大きなファイアーボールを作って相手の船に向かって打った。

「これで燃えろー。」


 相手の船からファイヤーボールが発せられましたね。魔法到達可能圏内に入りましたか。熟練者だったら、手から離れたものを制御することは可能ですからね、逃れようがありませんね。

「くっそ。これは避けれない。」

「うわわ、なんかやばいのが来てる。」

 イオは慌てて言った。

「大丈夫なんだよな?船長?」

 カイが念押しをした。

「・・・たぶんね。」

 ファイアーボールはソフィア号の左舷に直撃した。しかし、燃えることはなかった。船体に海水がしみ込んでいたのだ。


「なぜ?当たったはずなのに。」

 アカディアは崩れ落ちた。

「もういい、撃てー。」

「バーン。」

 

相手がまた砲弾を打ってきましたね。流石にもうきつそうですね。

「もう少しで魔法使用圏内に入ります。」

「取り舵。」

 船は左に傾いた。しかし、すべての砲弾を交わすことができなかった。

「ゴーン」と音がして船に衝撃が走った。

「きゃあ。」

「おっとと。」

アルベール先生は体勢を崩した。

「左舷被弾しました。」

 イオが被害報告をした。思い切り穴が開いたのだろう。船体が徐々に低くなって、傾いた。

「もう少し持ってくれ。」

 ネネは願うようにしてそう言った。

「やべーんじゃねの。このままだと沈むぞ。」

「いや、ネネ様なら何とかします。」

「大丈夫だ、あと少し持てば。」

 海水がだんだんと入ってきているようだった。船体は徐々に沈んでいっている。

「本当に大丈夫?」

 イオが心配した。

「・・・」


「敵艦、被弾した模様。」

「よっしゃー。」

「いや、まだです。まだ、真っすぐ走っています。」

 ノーフォークはそう言った。


 その直後。

「魔法使用圏内に入りました。」

 スミレが明るい声でそう言った。ネネは笑った。

「ネネ、頼む。」

 マコトがそう言った。

「うん、再生。」

 ネネは再生魔法を使った。船の構造を細部まで脳に組み込むのは流石のネネの頭でも処理する情報が多かったが、要するにフタバの服を作ったのと同じである。

 次の瞬間、傾きかけていた船はもとに戻り、被弾した部分、穴が開いたところは元通りに治った。


「敵艦、魔法使用圏内に入った模様。修復をしているようです。」

「ん?」

「そんな簡単に船が治るわけないじゃないか。馬鹿だな、ノーフォークは。」

「いや、本当です。もう元の状態に戻っています。」

「は?」


「今度はマコト、お願い。」

「うん。」

「アイストリガー。」

 マコトは彼の得意な氷魔法で氷のナイフのようなものを作り、ものすごい勢いで相手の船体にぶつけた。その数、百以上。


「敵の魔法攻撃です。」

「防御魔法展開。」

 防御魔法に無数の氷の刃が当たった。

「このままでは持ちません。」

 氷の刃はあらゆる方向から船体に向かって飛んできた。ばきばきという音がして、船体が崩れていく。帆も修復が不可能になるくらい破れてボロボロになっていた。経った一度の攻撃でこの有様だ。


「ウィンド。」

 ネネは風魔法を敵艦に向かって放った。

「うまくやれよ。」

 マコトはそう言った。

「はいはい。」

 ネネの風魔法は相手の船にうまい具合に当たった。


「風魔法です。このままではわが船は座礁します。」

「面舵一杯。」

 アカディアがそう言った時にはすべてが手遅れだった。船体は海岸の岩にぶつかり座礁した。船は大きく揺れたが、水平に静止した。レッドリザードはソフィアに惨敗したのだった。


「仕上げをお願い。」

「はいはい、アイスフィールド。」

 マコトは氷の玉のようなものを敵船の近くにほうと投げた。その玉は水面に当たると、バキバキと音がして瞬時に敵船の周りの海水が氷になった。

「ようし、完了だな。」

「いや、まだ後始末をお願いします、マコト。」

「あーあ、地味だな。」

 船はホンド瀬戸を無傷で通過中だった。所々水深が浅いところがあったので、ネネは探知魔法でその場所を避けながら、瀬戸を通過した。その間、ヘイドは後の船が瀬戸を通れないようにするため、瀬戸を氷漬けにしていたのだった。

 たちまち、瀬戸は一面に氷が張っている、凍った海となったのである。


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