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カミトキ  作者: 稗田阿礼
第一章 学園編
30/129

1-28.ソフィア1

 この日の午後には正式にすべてのアルティが決定した。一アルティ八人総勢三十八アルティが新しく誕生したのだった。生徒は全員大ホールに集められ、アルティごとに決められた場所に座った。そして、自室にある私物を全てまとめてもって来るようにも言われていた。舞台上にはコバルト校長、そしてその他大勢の先生が座っていた。全員が集められるとコバルト校長から話があった。

「諸君、よく無事にアルティ決めを終了したのじゃ。毎年けが人が出るが今年は少なかったので良かったと思うぞ。では、今から教師を決めていきたいと思う。毎年恒例のくじ引きじゃ。教師は各アルティに一人、三年間全教科を担当する。全員が熟練の魔法使いじゃ。各アルティの代表生徒は舞台上に上がってきてくれ。」

ネネはそう言われたので、上がっていった。ステージには抽選箱が置かれており、その中に先生の名前が書かれているようだった。三十人の生徒がステージに着いた順にくじを引いて行った。

ネネは五番目だった。ネネはそっと抽選箱に手を滑り込ませた。そうしたら、まるで吸い込まれるように手の中に紙切れが着地した。まるで魔法を使っているように。ネネはその紙切れを取り出した。そこには、

「 レイリ・テロメア先生  」

と書かれていた。

ネネはその紙切れを見て、少しがっかりしたような、喜ばしいようなそんな感じがした。ネネはコバルト校長にその紙切れを見せた。

「レイリ・テロメア先生。」

彼はそう呼んだ。教師の中にいたレイリ先生がひょこりと顔を出して、ネネの前に来た。

「あら、ネネ一年ぶり?奇遇だねー。」

ネネはなんとなく察していた。レイリ先生の名前が書かれた紙を見た時から。恐らく、レイリ先生は自分の紙を意図的にネネに引かせたのだ。他の魔法使いが見張っている中で。ネネは、ため息をついた。

「奇遇じゃないですよね、師匠。」

ネネはぼそりと言った。

「偶々私が担当することになっただけだよー。」

先生は嬉しそうな顔をして言ったのだった。

「まあ、どうでもいいです。決まったことなので。」

ネネは冷めた声でそう言って、先生と一緒にステージを降りた。このように各アルティが先生を割り当てられていった。先生が決まり終わるとレイリ先生とネネたちは寮へと戻った。


「さあ、ここが私たちのアルティの部屋だよー。ちなみにこの高校ではネストというので覚えておいてねー。」

レイリ先生は説明し始めた。二人部屋が大量にあった西棟は豹変していた。各階に七つから八つの扉があり、それぞれのアルティに配分された。ネネのアルティの部屋は四階にあった。先生が扉を開けるとそこには大きなリビングが広がっていた。

全員で団らんできるような机を囲んだソファや広々としたスペースがあった。その隣の部屋はダイニングルームで全員で食事ができるようになっていた。隣にはキッチンもあった。リビングからはそれぞれ男性用ベッドルーム、女性用ベッドルームがあり、そこにもゆっくりできそうなソファが置いてあったりした。

そして、リビングから続く最後の扉の向こうには脱衣所、そしてその向こうには大きなお風呂があった。一気に八人入ってもまだスペースがあるくらいのお風呂であった。みんな感動していたが、ネネとヘイドは家のほうが豪華だったので特に何も思わなかった。レイリは案内した。

「すごいでしょ。ここで三年間暮らすんだよー。」

「風呂でか。」

「リビングも快適そうですね。」

などと皆が言っている中、ネネはレイリ先生に質問した。

「先生はどこで寝るのですか。」

「私はちゃんとした部屋があるから、心配することはないよー。」

「ちなみに授業はどこで?」

「ああ、そのことだけど、今年は中央棟の六階の一番大きい教室を使わせてもらうことになったのー。」

「子供たち、明日の授業は中央棟六階の八番教室でやるからねー。杖や諸々持ってきてねー。あと、アルティの名前も決めておいてねー。この部屋は自由に使っていいけど、男女間では一線超えないようにねー。まあ、私は超えてもいいと思うんだけど一応ルールだから。」

レイリ先生はそう言って颯爽と帰っていった。

「テキトーだな。」

ヘイドはあきれたようだった。

「いつもあんなのですけどね。」

「知り合いなのか?」

「はい、以前ちょっと魔法を教わったことがありまして。」

「ほー、」

みんなが落ち着いてから、ヘイドはみんなに声をかけた。

「これから、同じアルティで生活していくから、役割を決めたいんだけど。まず、リーダーはネネでいいよね?」

ネネ以外の人が全員頷いた。

「え、わたしリーダーですか?」

「てめーがいねーと俺はここにいねーよ。」

「私もです。」

「僕もそうですね。」

ケリンもひそひそ声でそう言った。

あ、そうですか。まあ、責任もって私がやるべきなのでしょう。じゃあ、仕切っていきますか。

「じゃあ、副リーダーはマコトでいいですか?」

誰も異論はなかった。

「では、僕がやります。」

「あと、アルティの名前何がいいと思いますか?」

「ネネ様大好きクラブがいいと思う。」

スミレはそう言った。

「却下です。」

「えー、なんで?」

ネネはそれを無視した。

「ほかにありますか?」

「はいはーい。」

カイは手を挙げた。

「じゃあ、俺様をめでる会。」

「はい、死んでください。」

 ネネは目で殺した。

「あの、ソフィアとかどうでしょう。古代語で知を意味するのですけど。」

「人の名前みたいですけど、ほかにないならそれにしましょう。いいですか?」

誰も何も言わなかったので、アルティの名前はソフィアに決定した。そのほかにも家事をする人などを決めて、一旦会議は解散となった。


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