1-27.アルティ決め9
マコトは今悩んでいた。彼は二つのアルティの誘いを受けていたのだ。一つはネネ・アンジェラと言う人のアルティ、もう一つはリテラ・アタランタという人のアルティだ。両方ともよいからな、マコトはそう思った。
しかし、リテラと言う人は魔法においてはネネと言う人よりも格下だということも知っていた。その一方で、リテラのアルティのメンバーは強者ぞろいであった。その一方でネネのアルティはあまり名が知られていない人やちゃらい女の人がいる。
リーダーで選ぶならネネで、メンバーで選ぶならリテラか、と彼は思った。そこでマコトは二つのアルティの確定しているメンバーに話を聞いた。彼はこれをデッドラインの一日前にしたのだ。そして、結論を導き出した。
マコトはネネのアルティに入ることにした。確かにリテラのメンバーは強いことはよくわかったが、それだけでしか選ばれていない。それに代わってネネのメンバーは多種多様な人が多く楽しそうだった。これは建前で本当はネネのアルティのほうが女子がかわいかったのだ。ただそれだけの理由でマコトはネネのアルティに入った。こうして、期限一日前でようやくネネのアルティはメンバーが確定したのだった。
「一時はどうなることやらっと思ったけど本当に良かった。」
「私は大丈夫だと思ってましたけどね、男子は単純ですから。」
ヘイドはぎくりとした。もしかして自分の恋心がネネに見透かされているのではと思った。
「あ、あ、そうだな。」
ヘイドは適当に相槌を打った。
「まだ、全員で顔合わせしていませんよね?」
「ああ、そうだな。俺も会ってない人いるしな。なんせネネが勝手に選んだだけだからな。」
「では明日皆さんでピクニックでもしますか。懇親会と言うことで。」
「じゃあ、俺はケリンに伝えとくな。」
「ええ、私からは他の人に伝えておきますから。」
次の日、ネネのアルティのメンバーが全員揃った。そして、ネネとヘイドが準備した布の上に靴を脱いで上がり、円形に座った。そこはネネとスミレが雨の朝に会ったあのコスモス畑のすぐ横であった。今日はあの日とは違い、雲一つない秋晴れであった。少し、秋を感じさせるような涼しい風が吹いている。みんなが座るとネネが話し始めた。
「みんな私のアルティに入ってくれてどうもありがとうございました。これから、三年間よろしくお願いします。では、知らない人も多いでしょうから自己紹介を最初にしますね。まずは私から。ネネ・アンジェラと申します。クマ出身でアンジェラ財閥の代表取締役をしています。今は執事に任せているのですけどね。あとは、そうですね、私は魔法使いです。よろしくお願いします。」
ネネは頭をぺこりとさせた。
「じゃあ、次はヘイドですかね。」
ヘイドは急に指名されたので驚いたが、自己紹介をした。
「ヘイド・ケンブルクです。魔法は一切使えないのでみんなの足手纏いになると思いますがよろしくお願いします。」
「俺の名前はサヤカだ。最初に言っておくが、俺は貴族が嫌いだ。あとはな、魔法はそこそこ使える。んじゃ、よろしく。」
「え、え、えっと、わ、わ、私の名前はスミレと申します。ネネ様が大好きです。み、み、皆さんみたいにあまり優秀ではないですが、よ、よ、ろしくお願いします。」
スミレは小さな緊張した声で言った。ネネとしゃべった時は大違いだ。男子がいるからでしょうか。
「ぼ、僕はケリンです。サッポロ出身です。魔法はあまり得意ではありません。よろしくお願いします。」
「イオです。えーと、私は魔法を使うのが好きでーす。よろしくね!」
「俺様の名前はカイだ。女性の諸君、俺のものになりたいならいつでも言ってくれ。」
あ、相変わらず反省してませんね、殺しましょうか、いや、殺すしかないですね。ネネは罰としてカイを三分間逆さまにして、空中に浮かせたのだった。
「僕はマコトです。親は商人をやっていて、魔法はまあまあ得意です。三年間よろしくお願いします。」
自己紹介が終わると個人でおしゃべりをする時間になった。それぞれがほかのメンバーと話し、お互いを少し知れたのだった。




