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カミトキ  作者: 稗田阿礼
第一章 学園編
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1-21.アルティ決め3


 ネネはきっちり三時に競技場へ向かった。ここで行かなかったら、もっと面倒なことになるからだ。ネネは面倒ごとがいやだった。そもそもこの学校に入学するのが面倒だった。しかし、お母様の遺言の中に立派な魔法使いになってほしいというものがあったから、入学することにしたのだ。

 競技場は魔法を練習する場所であったので、外に魔法がぶっ放されないようにと結界が張ってあった。普通は二人の魔法使いが決闘を行う場所であった。しかしながら、決闘という形をとると、リテラには不都合なことがあるのだろう。

リテラは勝負とだけ言っていた。何の勝負でしょうか、などと思いながら競技場に足を踏み入れた。競技場の中はとても広く思い存分暴れられそうだった。観客席にはなんとまあ、ざっと百人くらいでしょうか、多くの人が座っていた。競技場は一週間一年生に貸し出されており、例年組員の争いや実力を見せ合うということで多用されるらしい。

「待っていたわよ。」

すでにリテラはいたのだった。まあ、そりゃ誘ったほうが遅れてくるのもどうかとは思うので普通のことであった。競技場の一番前の席にヘイドはいた。なにか言っていたが、二人は無視した。

「はい、何で勝負をなさるのですか?」

「そりゃ、魔法に決まっているじゃない。でも、箒の使用はいいわ、そこが決闘と違うところ。」

ああ、やっぱり自分に有利なようにルールを少し変えていますか、まあ想定内ですけど、ネネはそう思った。

「では、戦闘不能になるか、場外へ落ちてしまうか、棄権するかで負けでよいですね。」

「ええ、殺すのはなしだからね。」

「もちろんわかっていますよ。」

「あなたは箒を使うのかしら?」

「いいえ、結構です。」

「じゃあ、始めるわよ。」

「いつでもどうぞ。」

 

リテラはすかさず箒に飛び乗った。流石というべきでしょうか、空の魔女と言われる通り、箒さばきは華麗なものですね、とネネは思った。ネネはその場所から一歩も動かなかった。面倒だったから。リテラは無演唱で炎の魔法を連発してきた。見事なものですね、まさに教科書通り、実戦経験が少ないのでしょうか、まあ私もそんなにないんですけどね、ネネはリテラの魔法を全て無効化した。

 リテラは驚いたがまだ余裕そうだった。次は雷の魔法をさっきの数、質ともに多くして発射してきた。これもネネは何事もなかったかのように無効化した。

「埒が明かないわね。じゃあ、もっと強いの行くわよ。死んでも知らないからね。」

リテラは箒で飛び回りながらそう言った。当たり前のことだが、上からのほうが攻撃しやすい。そして、箒を自在に操れるので三次元的に動けるので、行動が多様になる。それに対して、地上では二次元的にしか動けず、圧倒的に不利であった。リテラは箒であちらこちらへと飛んでいたが、ネネは面倒だったので気配だけで攻撃を察知していた。

「私の心配は結構ですので。」

「では、遠慮なく。」

リテラは大技を仕掛けた。ネネはその攻撃を予想していなかった。ネネは平然と構えていた。

 リテラは仕掛けた。その瞬間箒に乗ったリテラはそのいた場所から一瞬にして消えた。そして、ネネを囲むようにして、炎の魔法や風魔法、雷の魔法が一斉にして現れた。そして、それらはネネを直撃した。


ネネの周りはパッと光って、爆発が起こり、黒い煙が少し出た。まるで実験に失敗した試験管のようだった。しかし、これはリテラの狙い通りであった。

「流石にこれじゃあ、無傷では済まないでしょ。」

リテラは油断をした。

 風で煙が流れて、ネネの様子が見えた。ネネの服の袖は少し焦げていた。全く効いていないわけではないようだった。だが、ネネは普通の様子だった。

「まさか、時間を止めれるなんてね。少しくらいは楽しめそうね。」

ネネは笑った。それは余裕のある笑いだった。それに対して、リテラは焦っていた。今までこれを受けて無傷だった人はいなかった。お父様ですら来ることを知っていても無事では済まなかった。誰もやれないことを経った今、ネネはやったのだ。

「あなたはどうして無傷なの?」

「これが無傷ですか?折角の制服が汚れてしまいましたわ。」

ネネはそう言って、制服を魔法で元通りに修理した。焦げ跡はなくなり、少し肌触りの良い素材に変わった。


「目立った外傷は見られないのだけど。」

「その理由は秘密ですよ。そろそろ私の番ですかね。」

リテラは覚悟して、箒で狙いを定められないように飛び回った。

「空中戦も一興なのですがね。」

ネネは場内に魔法をかけた。その名も重力魔法、重力加速度を五倍の約49N/kgとした。箒は重力加速度が9.8で術式が付与されているので空を飛んでいられなくなる。

リテラは地面に一瞬で叩き落された。重力が五倍ということもあり、とても痛かっただろう。しかし、リテラは立ち上がった。

「がんばりますね。まあ、これで最後でしょうけど。」

ネネは大きな火の玉を作って、リテラに投げつけた。魔力量が違いすぎた。リテラは防御魔法を施したが、それは薄い紙ぺら一枚に過ぎない防御力しかなく、すぐに破られて直撃した。ネネは炎の温度をそこまで熱くはしていなかったので、リテラは少しやけどを負った程度済んだ。リテラは声を出す間もなく、気絶してしまった。


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