表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カミトキ  作者: 稗田阿礼
第一章 学園編
19/129

1-18.クマ高校4



 どうやら、生徒は全員集まったようだった。受験番号順にならばされて、生徒たちは大ホールへと案内された。ヘイドはホールの大きさに驚いた。二千人以上入る大きなホールだったが、在校生と新入生を合わせても900人くらいしかいなかったのでホールの後ろは誰もいなかった。ホールは一階席と二階席があり、二階席には先生らしき人達が座っていた。新入生は指定された席に座った。在校生はもう着席しているようだった。ホール全体の照明が落ちて、真っ暗になった。

 スポットライトがステージ中央に当たった。そこには、小柄の髭の生えた少し険しい顔をしたおじいさんがいた。


「新入生の諸君、私立クマ魔法高等学校に入学おめでとう。わしはここの校長のコバルトと申す。ここは世界一の学校と言っても過言ではない。それくらい、教職員、生徒、施設の質がいいのじゃ。ここまで、来るのに苦労したものもいるだろうし、苦労しなかったものもいると思う。

ひとまず、お疲れ様じゃった。しかし、本当の物語はここからじゃ。ここから、みんな化けるのじゃ。ここで学ぶと今までのことがただのお遊び程度のものだったと思うじゃろ。それくらい皆には環境が変わったものとなるであろう。勉学は今まで以上に厳しいものになると思う。しかし、それをやる価値はある。なぜなら、魔法使いは世界を変えていく力を手にすることができるからじゃ。

昔、この地で魔王となられ、世界帝国を作ったアレ様も偉大な魔法使いであった。魔法使いになればそれくらいは可能となるかもしれないのじゃ。

 では、今年の首席合格者の発表と魔法使いの称号をすでに得ている者を発表する。参考にするように。


 今年の首席は、一般枠はネネ・アンジェラ、技能及び筆記試験で最高得点であった。そして、特別枠ではヘイド・ケンブルク、筆記試験で全教科満点であった。

 そして、魔法使いの称号を持っている者は今年は四人いる。ネネ・アンジェラ『暇の魔女』、リテラ・アタランタ『空の魔女』、カナ・ダンフリーズ『無口の魔女』、レオン・バーミンガム『草の魔法使い』である。

 新入生の諸君にはこれから一週間で組み分けをしてもらう。入学者300人を38の組に分けるのじゃ。組はアルティと呼ばれて、今後の人生までに影響するものじゃ。一アルティ七から八人ずつくらいじゃな。分け方は自由であるが、そのアルティは三年間変更することができず、アルティ対抗で何かをやってもらったり、そのアルティの成績によって個人の成績も確定するのでよく吟味して選ぶことじゃな。

授業はアルティ決めが終わったら始まるので来週の火曜日から始まる。それまでは、学校に慣れるのとアルティ決めをすることが新入生への最初の課題じゃ。アルティが決まらなかったものは即退学なので注意することじゃな。申請用紙は一人一人に配っておるが、そのアルティのリーダーが一枚提出するだけでよい。八人が決まったらすぐに教員に提出することじゃな。あと、最後に魔法使いの称号を待っている者は一アルティに一人までじゃ。流石に不公平になるからな。頑張りたまへ。」


 これで、入学式は終わりだった。アルティ決めか、一週間で人を見極めないといけないということだ。俺たちは学校に試されている。社会性、人を見る目などを。これで三年間が決まると言っても過言ではない。ヘイドはもちろんネネと同じアルティがいいなと思った。しかし、このアルティ決めは魔法使いや優秀な生徒の争奪戦になる。果たして、ヘイドはネネのアルティに入れるのか、それはわからない。

 生徒が退出し始めた。みんな、アルティ決めのことでそわそわしているようだった。校長の真意をわかっている生徒がどこまでいるのか。

「おーい。」

そこに聞きなれた声が聞こえた。

「なんだ?」

ヘイドはリテラに向かってそう言った。

「アルティどうする?」

「いきなりだね。まだ、誰も動いていないよ。」

「そうなんだけど・・・」

「リテラは気を付けたほうがいいよ。アルティ決めは言い換えれば、優秀な生徒の争奪戦。いわば、オークションだ。そこに君は最高級の品として出品されてるのと同じ状況だからね。」

「それは、ヘイドだって同じじゃない?」

「へ?」

ヘイドはリテラの不意打ちに驚いた。

「だって特別枠首席だよ。」

「あ、」

そうであった。ヘイドも出品されていたのだ。自分はあまり意識をしていなかったが周りから見れば、自分も商品であった。

「あーあ。どうしよ?」

「まあ、私と同じだし、二人仲良く同じアルティに入るとか。」

リテラはヘイドと同じアルティに入りたいようだった。

「うーん、どうしよう。」

ヘイドは話をぼかした。ネネと同じアルティに入りたかったのだ。さっき入学式でネネ・アンジェラの名前が呼ばれたとき。ヘイドはほっとして、この学校に入ってよかったと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ