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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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鎌ちゃんの日常

鎌ちゃんはお雪に手紙を書いていた。

外はまた雨が降っている。鎌ちゃんは久しぶりにお雪に手紙を書いていた。


拝啓


お雪、元気にしてますか?伊助とも仲良くしていますか?今日はお雪に伝えることがあって、こうして手紙を書いているよ。


お雪、父上が亡くなった。お民も、弥太郎も。父上が住んでいた屋敷が燃えて、3人の亡骸だけが見つかったそうだ。家来や女中たちの亡骸はどこにもないのだそうだ。


父上たちの亡骸なんだけどね、偶然にも私の稽古場から近いんだ。何故だろうね、私は毎日のように父上たちの眠る墓に行っては父上に話しかけてるよ。会う事も叶わなかったけれど今はね、父上のことを私は誇りに思うよ。


あ、そうそう、この前ね、お寺に客人が来ていてね、その時に美しい馬を見たんだ。大きくてカラダは灰色をしていてね、たてがみが黒かったんだ。


お雪もまた落ち着いたらこっちに来ておくれ。


秋場所、私の初土俵が正式に決まったよ。頑張るね。


兄、御幸山より。


手紙を書き終わると、それを持って飛脚の元へ行った。


飛脚は物凄い速さで手紙を持って走って行ったのだった。


そしていつものように清吉の営む鍼灸院に顔を出す。


清吉さんのところに来ると調子が良くなります。いつもありがとうございます。


こちらこそ、いつも来てくれてありがとうね、鎌ちゃん。


清吉と清花がいつものように見送ってくれた。四六時中ずっと一緒にいる。一緒にいることが当たり前になったこの毎日が2人にはとても幸せなことだった。


2人に手を振り、いつものように寺に来た。あの馬はもういなかった。


鎌ちゃん、今日も来てくれてありがとう。


あ、和尚、今日はあの馬いないんですね。


うん。あの馬に乗って黄泉の国へたひだたれた。


そうですか。黄泉の国ですか。父上もきっとそこにいるのでしようね。


いるよ、きっと。


鎌ちゃんはニコっと笑うと和尚に挨拶をして稽古場へ帰っていったのだった。


稽古場へ向かう鎌ちゃんに鏡山親方が付人を付ける。

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