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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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屋敷のあとに

屋敷へ向かったお殿様とアオと馬飼だったがそこにあったのは焼けた屋敷のあとだった。

アオの背に乗り馬飼に引かれて屋敷まで着いたが、屋敷は焼けて無くなっていた。


近くに住む民がお殿様を見て、生きていらしたのですか。と聞く。


ああ、なんとか命は取り止めた。


あの日確かにお殿様の亡骸と弥太郎様の亡骸が屋敷に届けられたのを私らは見ていたのです。だったらあのお殿様の亡骸はいったい、、、。


ワシゃ知らぬ。お民はどうしておりますかな?


この屋敷が火事になり、その時に逃げ遅れたのか亡くなりました。お殿様はどこに居たんですか?


馬飼に世話になっておった。この馬が斬られたワシを背に乗せ連れて行ったのじゃ。


そうでしたか。しかしお殿様、お殿様は死んだ事になっておいでです。もう葬式も終わり3人の墓がある寺にあるそうです。


その寺の名前は?


なんて言いましたかなぁ。あー、綺麗なお坊さんがいる寺なんですけどね。この屋敷まで髑髏になった骨を拾って持って帰って行きました。たしか相撲取りの鳳翔山の育ての親ですよ。


あ、ワシその寺の和尚知っておった。


そう。聡太郎がお雪に宛てた手紙に書いてあった。これは鏡山親方に会いに行くしかない。聡太郎にも会えるやもしれぬ。


お殿様は屋敷のあった辺りに行くと、アオの馬小屋があった辺りを歩きまわった。何やら足でトントンと何かを探しているようにも見えた。


そして1箇所で足を止めると、そこにズボっと足を突っ込んだ。


ここじゃったか。


お殿様はその下から巾着袋を取り出した。


あ、これ、ワシのヘソクリじゃ。500両ほどある。

重いのぅ。


馬飼、ほれ。受け取ってくれるか。そっちには100両ほど入っておる。ワシのヘソクリだから大丈夫じゃ。


何が大丈夫かわからなかったが、こんなに貰えないという馬飼に、


命の恩人なのだからと強引に渡したのだった。


馬飼はこんな大金を持っているのが見つかって命を狙われてしまう方が恐ろしいという。


馬飼よ。そなたがそんな大金を持っているとは誰も思わないから安心するのじゃ。


それもそうだと馬飼はその金をありがたく貰うことにしたのだった。


別れ際、馬飼はアオに礼を言った。今まで馬飼をしていたがこんなに孝行な馬はいない。とそう言って喜んだ。これからもお殿様をお守りするんだぞ。何があったらまたウチにこい。待ってるから。じゃあな。アオ。


馬飼は帰りに新しい馬を買いそれに乗って帰っていった。


そしてお殿様とアオは鏡山親方のいる街へ向かったのだった。



お寺を目指してアオとお殿様の旅が始まる。

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