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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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お雪との再会

伊助とお雪は5日間ずっと出会い茶屋にいたのだった。

お雪から鎌ちゃんのところへ来てから5日ほど経った頃に、お雪と伊助が馬ではなく、ラクダに乗って大阪場所の相撲部屋まで訪ねてきてくれた。


鎌ちゃんのまわし姿を初めて見たお雪は、


兄上、大きくなりましたね。と言って笑っていた。


鎌ちゃんはお雪を見て驚いた。


お雪、とても綺麗になったね。見違えた。


ほんとに?


お雪は子供のころのように兄の顔を覗き込み、聞いてくる。


鎌ちゃんは、うん。綺麗になった。と答えたのだった。


伊助が兄上様。お久しぶりでございます。


と言って、鎌ちゃんもお雪もワハハと笑った。


そんな笑う事ないでしょ?お雪の兄って事は私にとっても兄なんですから。まぁ、年は私の方が少し上ですけどね。


少しじゃないでしょ。だいぶん上です!


兄上様、だいぶんはやめてくださいよ。少しにしてくださいよ。


そう言って楽しそうに笑う伊助をお雪と鎌ちゃんは見て笑う。そして、


じゃあ、私の弟になるわけですから、伊助って呼んでいいですかね。


そうね。私も伊助って呼んでるわ。


お雪、そりゃいけない。お雪は伊助の事を旦那様とか、あなた様とか、そう呼ばなくちゃ。


いえ、私は伊助と呼ばれる方が心地良いんです。ね、お雪。


はい。伊助。


にこにこと見つめ合い笑う2人を前に、鎌ちゃんはなんだかにやけてくる。仲よさそうだわ。この2人。


あ、そうだ!兄上!あのサザンカね、サザンカじゃなかったの!


え?


葉っぱが似ているので間違われるのですが、あれは白いツバキの花が咲きました。


なんと!白いツバキが。お雪にぴったりだね。


にこにこと笑う鎌ちゃんを見て伊助は思った。この方はお殿様に似ていると。会わずとも似ている。血筋とは恐ろしい。


お雪はこっちでゆっくりして行けるのか?


実はこっちに着いて5日経ちました。5日間ずっと出会い茶屋におりました。


あ、あぁ、そうなんだね。


これから伊助の父と母に会いに行ってきます。


うん。そうか。ではまたな。伊助さん、お雪の事、よろしくお願いします。


兄上様。しかと承ります。


ラクも、お雪の事、よろしくお願いしますね。


ラクは初めて会ったのに大きな声で返事をした。その聞いたことない声にびっくりした鎌ちゃんはコケそうになったが踏ん張った。


ワハハワハハと三人は楽しそうに笑ってそのままお雪と伊助はラクの背に揺られて大阪をあとにした、


見送る鎌ちゃんの目に涙が溜まる。


幸せそうな顔をしていた。お雪が幸せそうな顔をしていた。お雪がお雪が幸せになった。


お雪ー!もっともっと幸せになれよー。


もう聞こえないだろうけど鎌ちゃんは大きな声で叫んだ。お雪に届くように大きな声で叫んでいた。






ラクに揺られて帰っていったのだった。

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