お雪の新婚旅行
旅に出た2人でした。
桜の花が散る頃、お雪と伊助はしばらくの間、旅に出ることを決めた。長い旅になるかもしれないと、伊助はラクダのラクも一緒に連れて行くことにした。
2人、ラクの背にまたがり、荷物もそこそこに出発した。伊助の生まれたところが見てみたいと言うお雪にまだ健在の伊助の両親にも会ってくる予定。
伊助が湯本家のお姫様と祝言を挙げたことを、両親は伊助の手紙で知っている。
こぶこぶと、揺られ、お雪は機嫌よくラクの背に乗っている。伊助もまたその後ろでこぶこぶと揺られている。
自分と男の間に割って入り、倒れ込んだカゲロウのことが頭から離れない。幼い頃に出会い、年を重ね、お互いのことを誰よりも知っていた。お雪との祝言の話がなかったら、今もカゲロウと共に年を重ねていた。
カゲロウのことを1番わかっているはずだったけれど、わかっていなかった。カゲロウは自分のことを誰より大切に思ってくれていた。
流れそうな涙を何度も何度もこらえて止めた。
俺が選んだのは、お雪。ここで泣くわけにはいかない。それが伊助の出来るこれからの事。
やっと死ねると言ったカゲロウの気持ちはわからないけれど、大切な人が自分じゃない違う人と共に生きていく事を選んだら、もしかしたら死にたいと、どこか心の奥の方で思うことなのかもしれない。
けれど、もしそうであっても、カゲロウは言ってくれた。お雪様のこと、幸せにしてね。と。
お雪を幸せにすることが伊助の出来るこれからの事。
お雪、もうすぐ大阪ですよ。もうすぐ、兄上様に会えますよ。お雪?起きてますか?
少しうとうととしておりました。
お雪のことだからそうじゃないかなと思いました。
大阪に着いたら何か美味しいものを食べましょうね。
伊助、私はそんなに食い意地は張っていないわよ。もう子供ではありません。行くのなら出会い茶屋へ行きたいのです。
本当に?ではお雪、今宵は出会い茶屋に行きましょう。
、、、。真っ赤な顔で下を向いているお雪が可愛くて仕方ない。
ラク、それでは少し急ぎましょうか。
ラクは聞いたことない大きな声で返事をすると、少し足を早めたのだった。
とうとう結ばれます。




