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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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鎌ちゃんの帰郷

江戸の町て鎌太郎

お正月を終え、初場所も終わり、鎌太郎は、日々、鳳翔山に付いて、稽古に励む日々を過ごしていた。


鳳翔山は、優勝を逃したものの、良い成績を残してまた一つ、上の方へ登っていた。


ご贔屓集からも、もう来場所は優勝してもおかしくないねと、労いとお褒めの言葉を頂くくらい期待をされるようになっていた。


期待を裏切らないように、鳳翔山も、毎日、稽古の前に稽古を続け、頑張っていた。


その後ろ姿は、鎌ちゃんには近寄りがたいほど、気迫に満ちて、これが力士というものか。


と、心の中では少し怖くなる。もともと、争いや、戦うことが好きではなく、鳳翔山に付いていろんな人と仲良くなる事の方が好きだった。


それでも、毎日の厳しい稽古の中で思うのは、自分のために自分の時間を割いて稽古を付けてくれる。それにいろんなことを教えてくれる。


そんな親方や師匠に喜んでもらう事は、自分が強くなって、早く相撲取りになることだと、鎌ちゃんは分かっている。


そんな鎌ちゃんを鳳翔山が清吉の店に連れてきた。


鎌ちゃんは、祝言以来、清吉とは会っておらず、初対面のような気持ちで挨拶をした。


もうあの頃とは違い、清吉の目は開き、みんな見えるようになっていた。側には清花がいつも居る。鎌ちゃんの顔を見て、清吉は祝言の時はありがとうね、と言ってくれた。


そして、顔を見ただけでちょっと診せてもらってもいい?


と聞く。


鎌ちゃんには心当たりがある。ここ数日、ずっと膝がおかしい。チカラが入らず踏ん張ると痛くて転びそうになる。


清吉は何も言わず、鍼を何箇所かに刺してそのあとお灸もした。


鎌ちゃん、これね、背が伸びる時期だから稽古し過ぎるのもよくないんだよ。鳳翔山みたいにちっちゃな力士になってしまう。


清吉それどういうこと?


身体がちゃんと大人に成長しきってないのに無茶な稽古を続けると、身体がそれ以上大きくなることをやめてしまうんだ。


なんと!


鎌ちゃんは今は小さいけど、鏡山親方くらい大きくなる!この時期だけでも稽古のし過ぎはやめた方が良い。


そうなの?


鳳翔山はそれを聞いて、鎌ちゃんの稽古を一時的に中断することを決めた。


なぁ、清吉、それなら俺はもしかして、激しい稽古のし過ぎで小さいのか?


いや、お前の場合は最初から小さい。


なんで鎌太郎と違うの?


違う。


何が違うの?


生まれ持った性質!


そりゃ仕方ない。


清吉は鳳翔山に、鎌太郎の膝がよくなるまでは安静にするように言った。


今伸びているところだから伸び終わるまで無理はさせてはいけないという。


鎌ちゃんは黙っていたのに自分の膝のことがみんなにバレていて驚いて何も言えない。


鳳翔山は、清吉の店から帰る道すがら、鎌ちゃんに言った。実は親方が言ったんだ。鎌太郎の膝の具合がどんなものか診てもらってこいと。俺も気になってはいたんだが、これから背が伸びるからだったんだなぁ。


鎌太郎はもしかすると俺より強くなるかもしれない。背が高い事は武器の一つになる。けどその分、重心の位置が高くなると小さい力士にやられたりする。


その前に療養だったな。ハハハ。


鳳翔山は鎌ちゃんを先に部屋へ返すと鏡山親方のところへ行き、鎌ちゃんのことを報告した。


鏡山親方はうーむ、と腕を組んで考えたあと、よし!鎌太郎を連れて療養の旅へ出る。


春場所は大阪だろ。鎌太郎の故郷はその手前。鳳翔山も一緒にくるか?


いや、ギリギリまでここで稽古して、大阪へ向かいます。


そうか。残念だなぁ。


そう言う鏡山親方は全然残念そうではなかったのだった。

鏡山親方の楽しみ。

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