カゲロウ日和
一度屋敷へ戻ったカゲロウだったが
カゲロウが夕霧の旅籠に泊まってから10日ほど過ぎた。
何をするでもなく、朝、昼、晩と出される御膳を食べて、1日をボーっと過ごした。
こんなに何もしないのはカゲロウにとっても初めてのことだった。
夕霧も、道蔵も、気にはなるけれど、何も言わない。
10日も過ぎると宿代のことが気にかかる。
カゲロウは夕霧にとりあえず、10日分の宿代を聞いた。
夕霧は、ちょうど1両になります。と言った。
カゲロウは、持っていた紙入れから1両を夕霧に払って、それとは別に、1両を夕霧に渡した。
何も聞かずいてくれたお礼だとカゲロウは言い、夕霧にもう少しここへ泊めてほしいと言う。
夕霧は、好きなだけ居てください。と笑顔で答えた。
ありがとうございますとカゲロウは礼を言って、ふと、伊助がどうしているか気になった。
明日の朝、少し出かけてきます。夕方には戻ります。
と告げた。
夜のうちに支度を整えて、カゲロウは、朝まだ暗いうちに出発した。
着いたのは昼少し前だった。
カゲロウは湯本家の屋根裏に入り込むと、先ずはお民の部屋に向かって様子を見てみることにした。
お民は、これといって何も変わらず。いつものように弥太郎の世話を焼いている。
しかし、よく見れば、見たことのない女中が1人雇われている。
まだ年若なその娘は仕事にまだ慣れていないようで、お民の格好の餌食にされている。娘は何をしても怒られているようで、
カゲロウから見ても、確かに少し物覚えが悪いように思うのだった。
しかしこの娘、、、どこかで見たような、、
よくは思い出せないが、確かにどこかで見たような気がしていたのだった。
カゲロウは、今度は伊助のいる部屋に入った。
伊助?いる?
ああ、カゲロウじゃないか、何処に行ってた?お民さんがエラく探していたぞ。
いやね、あの奥様ったらね、私に、言ったのよ、伊助を毒を盛って殺せって。お雪様のお母様みたいに殺せって。
何?あの女がそんな事を!
で、私、伊助を殺すことなんて出来ないから、勝手にここを出たんだけど、あなたのことが気になって、様子を見にきたの。
伊助、変わったことはない?大丈夫?お雪様も、大丈夫?
伊助は、そういえば、新しい女中が入った。
あの女中、伊賀の里だと思うんだが。
里?あの、お里?まだ小さな時に一度見たことがある。
たしか、お前と同じ、毒を使う忍者の家系。
、、、。
心配ね。
そうなんだ。
困ったわね。
そうだな。
カゲロウは、何とかしてみる!
と、伊助の部屋を後にした。
そして、直接お里と話をしてみることにした。
お里はカゲロウをみると、姉さんー。と嬉しそうに寄ってきた。お里にとってカゲロウは、甲賀と伊賀の違いはあるが、同じ、忍者の家系で、小さな頃からカゲロウのことは両親から聞いて知っていた。いわば、お里にとってはカゲロウは憧れでもある。
お民の前では鈍臭いフリをしているが、本当は、賢い子だとカゲロウも知っている。
お民は伊助を殺すように命じたかを聞いてみると、お里はうんと頷いた。
けれど、そんな事をするつもりでここへ来た訳ではない。お里はカゲロウと共に仕事ができると思い、やってきたと言う。
でもカゲロウの姿がなく、お里は鈍臭いフリを続けて早く、解雇されることばかりを考えていたそうで、カゲロウをみて、喜んでいるのだった。
カゲロウは、実は自分も伊助を殺せと命じられ、嫌で勝手にここを出たのだと告げた。
姉さんそれで今どこに?
旅籠に泊まって10日経つ。
私も姉さんとこに付いていきたい!
と言うので、カゲロウは、お里も連れて旅籠に戻ることにした。
あと何人くらいクノイチばかり雇う気だろう。
けど毒を使う忍者の家系はカゲロウのところと、お里のところだけ。もしかしたら関東や九州にも居るかもしれないけれど。
とりあえず、お里を連れて一旦戻ることにしたのだった。
旅籠に客が増えていく




