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カゲロウ日和
夕霧と会いました。
また雪がチラホラと降ってきた。
もうすぐ日が傾き始める。早く着けて良かったと、カゲロウは空を見上げて安堵する。
ここね。夕霧さんがいる旅籠は。
ごめんください。
はーい。いらっしゃいませ。あら、お一人様ですか?
はい。あのぅ、実は、
夕霧は深くは聞かず、とりあえず部屋へ通し、女にとっちゃ冷えっていうのは命取りにもなり兼ねないから、まずはお風呂へどうぞと案内してくれる。
浴衣も、ちゃんと用意して、置いてある。
カゲロウはお風呂に浸かって冷えた身体を温めた。夕霧さんって人は、綺麗な人だけでなく、細かな気配りが出来るとても良い女の人ね。伊助が何かあれば夕霧さんの旅籠へと言った訳がわかる。
信頼してもいい人。
お風呂から出て浴衣に着替えて部屋へ行くと、部屋には料理が並んでいた。カゲロウが通された部屋は少し小さめの、庭からも少し離れた部屋。
女1人で旅をしているなんて、絶対訳ありだから、ここ!
と、夕霧は笑いながらカゲロウに言う。それ言われたカゲロウも、笑ってその訳ありな訳が話しやすい。
ご飯を一口食べてカゲロウはその暖かさに少しの間、全てを忘れてここに居ようと決めたのだった。
旅籠で世話になることを決めたカゲロウだった




