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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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親子の旅

とうとう雪が降る季節。

トスントスンと何かが落ちるような音と、チチチチチチチチという鳥の声が聞こえて目が覚めた。


お雪はその声のする方へ行くと、そーっと戸を開けて隙間から外を見た。


わあ。


外は白い世界へと辺りを変え、サザンカの木に若草色した小さな鳥が何羽かとまったり、飛んだりを繰り返して、白い綿雪を落としていく。


何してるのかしら?


お雪はその鳥たちが何をしに来ているのか見ていた。赤い花にクチバシを突っ込んでいる。


花の蜜を吸いにきているのね。小鳥さんのお食事ね。


食事のジャマをしないように開けた時のようにそーっと戸を閉めた。


ラクちゃん元気かなぁ?きっと雪を見るのは初めてね。


お雪は嬉しそうな顔をして足早にラクちゃんのいる小屋へ向かった。


ラクちゃんおはよう。


ラクはいつもと違い、返事をしない。


どうしたの?


ラクの横にいるラクダの親戚みたいな子も元気がない。


エサ箱を見ると空っぽになっている。


そういえば、まだ誰の姿もない。何かあったのかしら?


お雪様ー。


伊助の呼ぶ声がして、振り返ると珍しく伊助が乱れた身なりのまま走ってくる。


よく見れば伊助のあちらこちらに赤い痣のようなものがいっぱいある。


はぁはぁと息を切らしながら小屋に入ってきた伊助は、


寝坊してしまって。あ、昨夜は蚊がいまして、、、。


伊助、今朝は雪が積もっているわよ?蚊がいるわけないじゃない!


あ、あの、えっと、そのぅ。


そんな事はどうでもいいの。この子達の様子が変なの。エサ箱が空っぽなの。


そうなんです!


伊助は急いでエサ箱に二頭分の干し草を入れた。


二頭は仲良く首をその中に突っ込んでご飯を食べ始めた。


お腹空いてたのね。ラクちゃん、鎌ちゃん。


二頭は顔を上げると揃って聞いたことない声で鳴いた。


伊助でも寝坊するのね。良かった。


何故良かったのです?


だって、いつもなんでも知ってるし、頼りになるし、兄上みたいなんだもの。でも今日みたいなことがあるとなんだかホッとしたの。だから良かったなって思ったの。


お雪は良いところに気がついたのぅ。えらい!さすがワシの子じゃ。


あ!父上。おはようございます。


のぅ。伊助、お雪、用事が終わったらワシの部屋へ来なさい。話がある。一緒にくるんだそ。


はい。


2人は顔を見合わせて首を傾げている。


お殿様はそれを見て、うんうんと頷きながら満面の笑みを浮かべてラクをひと撫ですると小屋を後にした。


話って何かしら?


さあ?


2人は頭に❓を付けてラクと鎌ちゃんを見ていたのだった。







お雪と伊助。2人の運命は、、、

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