清吉の恋
清吉の恋最終章です。
朝になっても雨は降りやまず、寒さは厳しさを増していた。
朝が過ぎて昼が過ぎて、まだ起きてこない清花のことが気になり、清花のいる部屋の障子の前に立つと、和尚が清花さん、起きてますか?
清花は何回めかの、その問いかけにようやく返事をして起きた。
よく眠れて良かった。
すみません。こんなに眠ってしまうとは、思ってもいませんでした。
慣れないことをして疲れたんでしょう。大丈夫ですか?清吉のところに行けますか?今日じゃなくても良かったら、明日にしますか?
いえ、会いにいきます。
それでは行きましょうか。
2人は傘をさして、清吉のお店へと向かっていた。
和尚の後ろから付いて歩く清花を、町の人たちは立ち止まり、一緒手をとめて見て、綺麗な人だなぁとみんなヒソヒソ噂した。
あの角を曲がった三件目が、清吉のお店です。
清花はその角を曲がって、お店を一件、二件と数えた。
そうして三件目の前に立った清花は、その目の前の光景に涙がでそうになる。
清花の目の前には見たかった唐物屋さんがあった。小さな美しい舶来の小物や、物珍しいものが並ぶ。
これは、清吉がこの場所だけでもあの頃の唐物屋のように飾りたいと置いているんですよ。唐物屋をいつか見てみたい。そう言った人がいつか見られるように。清吉はずっとあなたがここへ来てくれることを夢みていたようです。
この飾りつけは、店ができてすぐ、みんなに手伝ってもらって、あなたに見せてあげたいと思うものを揃えたそうです。
清吉も、あなたのことをずっと思ってこれまで過ごしてた。あなたがここに来てくれることを、どこかで私も待っていましたよ。
さ、こちらですよ。
和尚に案内され、奥に入った。
清吉、お客さんを連れてきてあげたよ。
あ、和尚。今日はヒマでもう閉めようかと思ってたところだよ。お客さんを連れてきてくれて、ありがとう。
いらっしゃいませ、お客様。
こんにちは。
和尚!女の人じゃないですか!もうすぐ暗くなるのに、今ごろからでは帰るのが遅くなってしまう。物騒ですよ。今日はやめて明日にした方がいい。
いや、いいんだ。この人には行くあてがないんだ。ここにきたのは清吉、お前に会うためなんだよ。
清吉、私はこれから帰るから、よろしく頼むよ。
清花さん、清吉と幸せになるんだよ!
和尚!清花さんって誰?
清花さんに聞きなさい!清吉、おめでとう。
いやいやいやいや、だから清花さんって誰ですか!
ちょっと!和尚!和尚ー!
和尚は帰っちゃいました。
その声は、もしかして、清花ってもしかして、、、
清吉さん。覚えていてくれていましたか?
振袖ちゃん?
はい。名を清花と申します。清花の清の字は清吉さんの清の字です。このたひ、年期が明けて吉原からでてきました。清吉さんに会いたくて。
清花か。綺麗な名前だな。この姿を見て、減滅しただろ。目も見えないし、自分が今、どんな顔をしているかわからないけど、
顔を指で触って、自分の顔を確かめて、あの頃よりシワが増えたかな。肉もついたかな。
いいえ、あの頃と変わらないです。いいえ、あの頃よりも良い男。
清花のおせいじに清吉はプッと吹き出し笑った。
清花ももしかして目が見えないのか?
ちゃんと見えてますよ。でも見えていないかもしれない。恋は人を盲目にさせるもの。
清花?
ずっとあなたが好きでした。いつの頃からかお慕い申しておりました。清吉さん、私をどうかあなたの側においてもらえませんか?
なあ、清花、だが、私はあの頃とは違うよ。お金もないし、1番の鍼灸師でもない。もしかしたら不幸になってしまうかもしれないよ。それでもいいの?
清花は、私は清吉さん、あなたが良いの。1番の鍼灸師でも、お金持ちでもない、なんでもないあなたが1番良いの。
と、そう言った。
いつまでも忘れずにいてくれた。ずっと前に会話したことをず覚えていてくれた。
私の好きなものを、あなたはいつも私のためにくれる。あなたの気持ちはいつも私を元気にしてくれた。私にはあなたが1番最高の人。あなた以外にはもう好きになる事はないでしょう。
私も、あなたの為に何かしたい。あなたを今よりもっと幸せにしたいのです。
清花。。。なんだかそれは本当は私が言わなきゃいけない言葉のように思うんだけど。
清吉さん、私をあなたの妻にしてください!
はい!喜んで!
ということで、鳳翔山関の親友の清吉さんは清花さんと祝言をあげたんだよ。
それからね、清吉さんの目なんだけどね、清花さんにどうしても医者に診てもらって!と頼まれて診てもらってね、見えるようになる!
見えるようになるまで、1週間くらいかかるそうなんだけど、見えるようになるんだって!!!
早く診てもらってたら良かったのにね。もうこの先目が見えることはないと言われても、清花さんと一緒ならのりこえられる。そう思ったから診てもらったって。愛の力はすごいよ、お雪。
お雪、お雪もいつか旦那様ができるだろう。
その時は、お雪のことをちゃんと愛してくれる人と結ばれるんだよ。良い?わかった?
いろんな男の人がいるだろうけど、お雪のことを好きになってくれて大切にしてくれる人を選ぶんだよ!わかった?
兄はいつでもお雪のことを愛している。だからお雪は兄のような人を選ぶこと!わかった?
お雪は、その兄の手紙を読んで、少し笑った。
愛するより、愛された方が幸せなのね。愛されて人は初めて人を愛することができるものなのかもしれないわね。
お雪はこの時、将来の旦那様のことを少し考え始めていた。
鎌太郎が時代の流れに翻弄されていきます。




