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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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清吉の恋

清花の名前は清吉の一字です

淡い薄い桃色の絹の着物がよく似合う。綺麗な女の人が和尚のお寺を訪ねてきたのは、清吉がこの寺を出ていって、5年目の冬が近い晩秋の頃だった。


空は今にも雨か雪が降りそうな寒い寒い日で、


和尚はその女の人を境内に通して熱いお茶を出していた。


女の人の名前は、清花といった。年は28くらいだろうか。日にやけことが1度もないのではないかと思うほど、白く透き通るような肌をしている。


うつむき加減で時々まわりを見渡して、誰かを探しているようにも見える。


和尚はここへ訪ねてきた理由を聞いてみた。


清吉さんは今どうしておいでかをお聞きしたくてここへ参りました。私は吉原の三浦屋で働いておりました、清花と申します。


その清花さんがどうしてここへ?


年期が明けて、行くところがなく、ここへ来てしまいました。清吉さんに会いたくて。いまさら会ったところで、何にもならないかもしれないけれど。会いたいのです。


もう何年も前のこと、私は吉原で生まれ、吉原で育ちました。小さな頃から花魁になるように仕込まれそこで生きていくのが当たり前だと思っておりました。


水揚げされ、花魁になることが決まった頃でした。清吉さんが贔屓にしていた花魁が病にかかり、その見舞いに行った時に聞いた話がありました。


清花ちゃん、あなたには幸せになって欲しかった。あなたが振袖小姓をしている時に、よく来ていた清吉さんはね、


実は、


あなたが水揚げされる前にあなたを身請けしようとしていたの。身請けのお金をすぐに持ってくると言ってここを出て、それから帰ってくることは1度もなかった。


何故かは次の日にわかったの。髪結い屋が火事になってその火が清吉さんのお店に移り、全焼したの。何もかも失くしてしまった清吉さんはその日からこの江戸の町から居なくなってしまったの。


今どこでどうしているか、育ての親の和尚さんが必死に探しているそうだけど、まだ見つかっていないのよ。


清吉さんはこの私に会う為に来ていたんじゃなかったの。清花ちゃんに会う為に来ていたのよ。清花ちゃんのことが身請けするほど好きだったの。


今まで言えなかったのは、言ってしまったら、清花ちゃんのことだから、死んでしまうんじゃないかと思って、黙っていたの。


今まで黙っていてごめんなさいね。清花ちゃん。


その話を聞いて、何日かして、私の花魁のお披露目道中があり、そこで清吉さんを見かけました。


、、、。清花はポロポロと、涙を流しながら続けた。


あの時、私は何もできなかった。


けれどずっと、いつもどんな時にも、清吉さんのことを思わない日は1日だってなかったのです。私はもういつの頃からかわからないまま、清吉さんをお慕い申し上げておりました。


年期が明けて、生きていたら、吉原から出られたら、清吉さんの顔を一目でいいからみたい。会いたい。そう思っておりました。たとえどんな姿になっていようと。私の気持ちは変わりません。清吉さんは、、、生きてますか?


和尚は、清花をただただ、見ていた。その瞳はとても優しく穏やかだった。












清花は清吉と会えるのか。

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