父上の勘
朝の穏やかなある日の話
朝がきて、起きたお雪は庭にでた。秋も深まり、本当に寒くなってきている。
庭には伊助とラクちゃんが居た。
ラクちゃん今日は早く起きたんだね。
はい。寒くなってきたのでラクの事が心配で早くに見にきたのですが、ラクは寒さにも強いのか、元気に眠っておりました。
伊助さんはラクちゃんの事が心配なのね。
ラクが病気になって悲しむお雪さまの顔をみるのが嫌なので。ついつい気になってしまうのです。
その伊助の優しさにお雪はまた下を向いて赤くなる。
そうこうしていると、
久しぶりにお殿様が庭に出てきてその2人の様子をいつのまにか見ていた。
伊助は今年、何才だったかのぅ。
お雪は来年15才じゃな。
と1人ブツブツ言っている。
父上、おはようございます。父上の顔をみたのは久しぶりです。
来年、江戸へ行かなくてはならぬからな、いろいろと準備をしていたのじゃ。
そうじゃ、お雪、江戸へ行く前に親子水入らずで2、3日旅でもしようではないか。
お雪はもう一度、夕霧の旅籠に行ってみたかったので、お殿様にそのことを伝えると、お殿様は、鎌ちゃんが居たところじゃのう?
と言った。
父上、知っていたのですか?
この前知ったところじゃ。ワシも江戸へ行く前にもう一度あそこへ行きたい。江戸へ行ったらもうこの家へ戻れぬように思うのじゃ。
ワシのただの勘なのじゃが、どうも帰ってこれぬように思う。
その前にお雪の祝言の準備もせねばなるまいて。
祝言ですか。
まだ早いが、ワシが安心できるのじゃ。すまぬな。お雪。
お雪は好きな男はおるのか?
おりませぬ。
本当に?
、、、。
お雪は下を向いて赤くなっている。
お殿様は、お雪の様子を見て、少し寂しげに笑った。
お雪の悪いようにはせぬからの。ワシに任せておきなさい。
お雪は頭の上に❓を付けて父を見上げたのだった。
お雪の心は秋の空




