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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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2人の出世

さ、清吉は番頭になれるのか。

夜になると冷え込みが厳しくなってきた。今夜は満月だけど、雲がかかって綺麗に見えない。そういえば、虫の声もしなくなった。


もう少ししたら、紅葉が紅く染まるかな。


庭の紅葉の木を想像してお雪は少し目を閉じた。


そしてまたまた兄からの手紙を開くと続きを読みだした。


清吉は、お店で一生懸命働いた。このお店で1番になりたくて、本当に頑張って働いていた。


その仕事をする姿を見て旦那様は清吉にいろんな仕事をさせてみた。雑用から掃除、そして大切なお客様の家に掛取りにも出かけられるようになっていった。


店の旦那様は仕事を卒なくこなしていくこの清吉を番頭にした。番頭といっても、この店には番頭は11人いて、清吉は1番下の番頭になった。


清吉は1番上の番頭になる為、また一生懸命働く意欲が湧いてきたのだそう。


そんな一生懸命に働く清吉をよく思わない番頭たちも居たし、また、一生懸命働くのを利用して、サボって清吉に仕事を押し付ける者もいた。


仕事なんか適当にしておけば、楽をして給金がもらえる。一生懸命したところで、何になる。


世の中にはそう思って生きている人もいる。いろんな人がいて、それでも清吉は、一生懸命働いた。


働いて働いて、また働いて。


そうして1年経つ頃には1番の番頭と同じくらい、仕事が出来るようになっていた。


人の何倍も、文句も言わず、ただひたすら、1番を目指して働いた。


このお店の旦那様は、誠実に一生懸命働いてくれる清吉に暖簾分けすることを決めた。


まだ他の番頭と違って、清吉は若い。


暖簾分けするということは、これからの清吉に期待するという事。ここで学んだことを、違う道で違うお店で一生懸命働いて、立派なお店の旦那になってほしい。いや、清吉ならなれるだろう。そう旦那様は考えた。


そんな時、また定吉が江戸の土地に帰ってきた。


清吉は定吉と再会して、お互いが、番頭になってて、幕内力士になったことを知る。


2人は仕方ないので、お互いの寿司代をお互いが払うことになる。


清吉は、定吉の分を払うのだけど、どう考えてもめちゃくちゃ食べるよなぁ、1か月の自分の給金が全て寿司に消えるかもしれないよなぁ。


と思ったそうなんだけど、定吉も、清吉の事を考えて、そんないっぱいは食べないでいてくれていた。


2人とも、お互いが出世していたことが嬉しくて、この日だけは羽目を外して楽しいひと時を過ごしたのだそう。


鳳翔山関はそのことが今までで一番嬉しい出来事だったと今でも言う。


まだまだ話は続くんだけど、お雪、すまぬ。


寝る。


またな。


、、、。


兄上、この手紙を書くのに何日かかったのかしら。けれど、兄の書く手紙はいつもその人たちのことがよくわかる。


夕霧さんも道蔵さんも、兄の手紙のままの人たちだったわね。


この手紙を読み終えたら、また夕霧さんの旅籠に行ってみたいと思うお雪なのだった。





店の主人としての話が始まります。

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