お相撲さんと番頭さん
定吉の出世
今夜は晴れていたせいか、だいぶんと冷える。
寝る前の日課のようになりつつある兄の手紙をお雪はまた開いて読み始めた。
鏡山親方のところへ修行にでた定吉は、そこでもみんなから可愛がられてはいたが、相撲の世界は強い者が名を残していくということを、身をもって知ることになる。
人よりも、誰よりも強くなりたい。
その負けん気が自分の中にもあった事に定吉は自分でも驚いていた。そして定吉は、異例の速さで相撲界に初参戦することになった。
その時に、親方やら贔屓連中たちが寄り集まって、鳳翔山という名がついた。
鳳翔山はそのことを、和尚や一緒に育った仲間たちに報告をした。
みんな喜んで、初土俵の時には、皆んなでみに行って応援するからねと喜んでくれた。
親友の清吉は、定吉の出世を祝ってくれた。お給金はそんなにない筈なのに、大きな足袋を一足作ってくれた。
鳳翔山はその清吉の気持ちがとても嬉しく励みにもなって、初土俵の日は無事に白星で飾ることができた。
でも勝ったのはその日を入れて4人だけで、あとはずーっと負け越しという結果に終わった。
もっと稽古しなければ!
その日から鳳翔山は、1人朝稽古の前に稽古して朝稽古に臨む、今の練習をこの頃から毎日行っていた。
そして巡業が始まると、場所が変わる。場所が変わるたび、鳳翔山は、着々と強くなっていったそうな。
巡業に旅立つ前に鳳翔山は、清吉と会い、いろんな話をした。清吉は、鳳翔山に、次に帰ってくるまでに、番頭になる!と言う。それ聞いた鳳翔山は、じゃあ俺は幕内力士になる!
2人はニヤリと笑って、その日までになってなかったら、寿司奢れよ!
ああ、どっちが早くなるか競争だな。と2人は違う世界だけどお互い、良い刺激を受けていたのだった。
すまぬ。お雪、眠い。
またな。おやすみ。
、、、。
兄上、、、。
寝ちゃったのね。
お雪は手紙をたたんで寝ることにした。
明日も晴れるかなぁ。晴れるといいな。
夕霧さん達はどうしているのかしら?
この手紙、夕霧さん達にも読ませてあげたいな。
お雪はふと、夕霧達のことを懐かしく思い出していた。
次は清吉の出世




