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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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お雪とラクちゃん、伊助

嵐の朝のようす

雨上がりの朝はよく晴れた。チュンチュンと鳴くスズメの鳴き声で目が覚めたお雪は、直ぐに表へでて庭に行った。


土がまだぬかるんでいるけれど、外にはラクちゃんが伊助と共にそこにいた。


あ、ラクちゃんおはよう。


ラクちゃんはまた返事した。


昨夜はすごい風だったもので、ラクの事が心配になり、こうして朝早く覗きにきたのですが、ラクは馬よりも落ち着いて寝ておりました。


そうなの?ラクちゃん、偉かったねぇ。


ラクは口をモゴモゴさせて少し偉そうな顔をしているようにも見えた。


サザンカは、


お雪はサザンカの方へ歩いていった。


木は無事に立っていたけれど、小さな蕾はポロポロとサザンカのまわりに落ちていた。


お雪はサザンカの元にしゃがみ込む。


痛かったね。


小さな蕾たちに呟いた。その瞳は涙でいっぱいになっている。この蕾たちが咲くのを楽しみにしていた。けれど蕾を守ることができなかった。


瞳からいくつもいくつも涙が流れて、我慢できずに声をあげて泣いていた。


伊助とラクちゃんがびっくりしてお雪のそばまで慌ててきたら、お雪は、蕾が落ちてしまったのと泣く。


伊助は、お雪さま、サザンカの蕾ならほら、まだまだいっぱい出てきますよ。小さな蕾がほら、まだ沢山隠れています。


伊助がサザンカの枝を広げて中にある蕾を見せてくれる。この枝たちはこれからもう少し伸びてきて、蕾はまた陽の当たるところまで出てきますよ。


いっぱい付きすぎていたから、今度は立派な強い蕾が出てきます。だから泣かなくて大丈夫です。


そうなの?


この蕾たちは全て取り除く方がいいでしょう。


もうカビの生える季節ではないけれど、生えたら大変ですからね。


なんだ!そうなのね。私はもう咲かないのかと、悲しくなってしまったわ。


お雪さまにラクが懐くのがなんだか分かります。お雪さまはお優しいお方ですね。


伊助はそう言って微笑んだ。


お雪は少し顔を赤らめ、下を向いた。


早く咲くといいですね。


うん。


お雪はラクの首をトントンと触ると、ラクちゃんご飯食べた?


ラクは大きな声でまた聞いたことのない声で鳴いた。


本当に食べたの?


ラクは口のモゴモゴを止めて、ゲップした。


わ!クサっ!


お雪の顔の前でゲップするものだから、つい声が出てしまう。


伊助はそれを見て、ワハハと笑っている。ラクは朝から今日はいっぱい食べたんだよな。お雪さまに会うと元気になるんです。不思議ですね。でも分かる気がするんです。


なんでかしらね。でも元気になるのはいい事ね。良かった。ラクちゃんがうちに来てまた楽しいもの。


そうですね。私もラクの世話は楽しいです。


お殿様はえらいものを買ってきたなと思っておりましたが、ラクがきて良かったです。


父上とはあまり会う機会がないけれど、父上のすることはいつも正しい。何故かしらね。


父だからですかね。


さ、ラク、そろそろ帰ろうか。


、、、。


ほら、私にはまだ返事してくれないんですよ。ではお雪さま、失礼します。


ラクちゃん、またね。


ラクちゃんはまた聞いたことのない声で返事した。


それを見て伊助は少し悔しそうに馬小屋へとラクを連れて行った。


お雪はサザンカに付いた蕾をまた触ってみた。


カチっとくっ付いていてビクともしない。


これなら大丈夫!


お雪の顔は笑みでいっぱいになったのだった。





また夜になります。

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