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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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鏡山親方の教え

江戸に到着。

外は夕焼け色に染まり、辺りがだんだんと暗くなってきた、秋の夕暮れは思うよりも早くやってくる。これから長い夜になるのだが、その前に2人は江戸に着くことができた。


鏡山部屋と書かれた看板が、小さな名もないお寺の境内に掲げられていた。


そこはもう何年も前から鏡山親方が江戸の地へくると贔屓の者たちが借りて用意してくれている。


中で相撲稽古ができるよう、土俵も作って用意してくれていた。


ただいま。


と帰ると女将さんが出迎えてくれ、鏡山親方の帰りを喜び、鎌ちゃんが来たことを喜んでいる。


そして、中へ入っていくと総勢18人の弟子たちがお帰りなさいと待っていた。


部屋の中はちゃんこ鍋の匂いでいっぱいになっている。ちょうど稽古を終えた連中が付き人に作らせたそれを位の高い者から順番に食べているところだった。


鏡山親方は、とりあえず、鎌ちゃんを関脇の先輩力士の付き人にすることを決めていた。鳳翔山と名のあるその力士はこれからどんどん強くなっていく。その側に付き、周りを見ることが大切なことだと判断した。


鳳翔山は鏡山親方よりも少し小さい。


小さいながらも果敢に大きな力士に詰め寄り、相手を打ち負かす。その闘魂あふれる相撲の取り方は多くの民から親しまれている。


鎌ちゃんを頼まれた鳳翔山は何歳だ。どっから来た。これからよろしくな!と手短な言葉を交わすと、鎌ちゃんの体型をみて、俺と同じでもしかしたら大きくはならないかもしれない。親方が自分に任せた理由がなんとなくわかる。


鳳翔山は小さな頃、江戸の小さな寺で育った。親は2人とも流行りの病で命を落としてしまい、身寄りのなくなってしまったところをその寺の住職に引き取られた。


そこには鳳翔山の他にも自分くらいの子供たちが沢山いた。大きくなるに連れ、みな、奉公に行ったり嫁に行ったり、また、鳳翔山のように相撲取りになった者もいた。みんな兄弟のように育ったから、面倒見はいい。


そして誰より人の気持ちの分かる、良い奴だった。だから人一倍、友達が多い。


いろんなところでいろんな人が見たい鎌ちゃんには持ってこいの人だった。



付き人の仕事

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