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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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鏡山親方の教え

旅にたった鎌ちゃんのお話

秋の夜長が明ける朝。空は青空で雲は高いところで風に吹かれて薄い線を描いたように薄く広がっている。明るい外の光に鎌ちゃんは旅の途中の宿の下、2日目の朝を迎えていた。


夕霧の旅籠をでて、鏡山親方のあとをずっと付いてきていた。鏡山親方は道すがらあちらこちらの人達から声をかけてもらい、祝儀や次の旅籠の宿代、はたまたご飯までご馳走になっている。


人気の力士を多く育てた鏡山親方の人気は親方になってからも続いていて、旅の先々で愛されている。


どこへ行ってもどこに居ても、知らない人がいないくらいの人気の力士の親方なんだと、鎌ちゃんは親方が何も言わなくてもその事がわかった。


何故こんなに人気があるのかはまだ、この時、鎌ちゃんは知らずにいた。


けれど、この人は凄い人なんだと、その事はよくわかる。そんなに人達から人気のあるお相撲というものはどんなものなのか。


これからその道へ進むことを、何も考えずに決めてしまったが、鎌ちゃんは興味が湧き、ワクワクするのだった。


さあ、あと一息で東海道の真ん中あたり。そろそろ富士山が顔を見せてくれる頃だ。鎌太郎!あの日本一の山をよ〜く見ておくんだぞ。


鏡山親方が鎌ちゃんにそう言った。


それからしばらく歩いていくと、目の前に見たことのない大きな山が見えてきた。


その山は美しく、そして遥か彼方な空の上にまで続いているかのように見えている。


大きくて美しい山ですね。あんなに大きな山は初めて見ました。


日本一の山だからなぁ。


鎌ちゃんの驚く顔を見てニンマリ笑って教えてくれた。


大きいだけではなく、姿、形も美しい。でもな、鎌太郎。これだけは忘れちゃいけないぞ。日本一になることが良いことのように思うかもしれないが、そんな事はない。


もっと大切なことはあの日本一の山を越えるくらい、名も無き山にも美しい所もあれば険しい山もある。


要は個々、一つ一つの山を知ることだ。


鎌太郎は鏡山親方の言ったことの意味をなんとなくでしかわからなかったが、その時の会話を忘れることはずっとなかった。



辿り着いたそこに待ち受けるのは?

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