計画
鎌ちゃんが再び夕霧の旅籠へ行く準備に入った
短い手紙だったがお雪の嬉しい気持ちと不安な気持ちが入り混じったそれが鎌ちゃんにも伝わってくる。
そうか。お雪は母になるのか。
鎌ちゃんは女将さんのところへ行き、安産のお守りがある神社はないですかね?と聞いてみた。
何?鎌ちゃん、誰か妊娠したの?鎌ちゃんの子供?
違いますよ!妹が妊娠したんです。
あら!めでたい!そうねぇ、この辺りだとどこかしらねぇ。神頼みしないからわからないわねぇ。だってよく言うでしょ?お相撲さんにお腹を撫でてもらうと安産になるとか、生まれた赤ちゃんを抱っこしてもらうと強い子になるとか。
え?そうなんですか?
そうよ。だから神社やお寺に行かなくてもウチには大勢相撲取りが居るからね!
女将さん、秋場所が始まる前には戻ります。一度妹のところへ行きたいのですが。
わかった。親方に相談しておくわ。大丈夫よ、私が言ったら親方も2つ返事で行かせてくれるわよ。
女将さん、ありがとうございます。
鎌ちゃんは、ここに修行にきて分かったことがたくさんある。こうして親方ではなく、女将さんに先に話を通しておくと、大概は大丈夫になる。
親方は女将さんには甘いのだった。
御幸山、いるか?
女将さんにお願いしてからすぐに親方に呼ばれた鎌ちゃんは、話は聞いた。ワシも行く!
いや、一人で大丈夫です。
そんなことは分かっている。夕霧の旅籠へ行く口実になるではないか。今回の大阪場所の時は行けなかったからな。年に一度の約束を果たさねばならん。
親方の鼻の下が若干長いことに気づいたが、気づかないフリをした鎌ちゃんであった。
道中で要らぬ噂を耳にする




