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湯本家の日常
伊助とお雪の毎日
お殿様が亡くなって、跡継ぎの聡太郎は行方知れずとされているが、今は相撲取りになっている。
湯本家の跡を継いだのは伊助だった。お殿様の1番の家来だった伊助はお殿様の仕事も卒なくこなしている。
夜には蛍が飛ぶ季節。椿の新芽が少し大きく硬くなり艶が増している。
朝早く起きて伊助は馬小屋からラクを出し、身体を綺麗に拭いてやる。
そうしていると、少し遅れてお雪が縁側にでてきてラクにおはようと声をかけた。
ラクは元気に返事をする。
いつもの朝のいつもの風景に、家来や、女中たちもにこにこと勝手に笑みがこぼれてくる。
少し違うのは、お雪のお腹が少し大きくなったこと。妊娠してもうすぐ5カ月が経つ。
妊娠がわかってから伊助は仕事の時以外はいつもお雪の側にいる。
伊助、ラクは男のこと女の子ではどっち?
ラクは男のこだよ。お雪は今まで知らなかったの?
うん。と頷くと、伊助はハハハと笑い出した。
そんなに笑わないで!
伊助は両の手を合わせて謝っているが笑っている。
朝のひと時を終えると伊助には仕事が待っていて、お雪は1人、兄の部屋に入っていく。
そこでいつも母の絵と、父上が遺した椿の絵にあいさつにいく。
今日も無事に過ごせますようにと、父上と母上にお願いするのだった。
いつも仲良し。




