おもちゃの国
遠い昔、あるいは今。
時間を忘れた国がありました。
その国は、おもちゃの国と言って、
その名の通り、おもちゃ達が、
『とても幸せに暮らして居ます』
そして、その国の王様は、いつまでも幸せに暮らすために、【困る】【泣く】を禁止しました。
「この命令を破ったものは、刑務所に入れるからな!!!」
おもちゃ達は、その命令に従いました。
その命令は、長きにわたって継続されました。
すると、段々とその命令にそむくものが現れました。
王様は、宣言通りにそのもの達を刑務所へ入れました。
そして、そのもの達を犯罪者としました。
ですが、段々と増えていく犯罪者に、
王様は悩みました。
どうすればいいのだろう……。
ある日、おもちゃの国に、
『泣くおもちゃ』
が生まれてしまいました。
王様は考えました。
生まれてきてから直ぐに犯罪者として刑務所に入れた所で、泣き止むとは限らず、学習も出来ないからです。
ある日、
大臣達に相談して見る事にしました、
「何を悩んでいるんですか?
泣くおもちゃなど、即刻刑務所に入れればいいものを……」
国民や、兵士にも聞きましたが、
口を揃えてこう言いました。
「刑務所に入れなければなりません!!!」
王様は困り果てました。
どうすればいいのだろう、と……
あれ?
王様は、【困って】いる?
あぁ、ダメ。
犯罪者は刑務所に入れなければ…。
王様を刑務所に入れてしまったおもちゃの国は、不思議な程に簡単に崩れていきました。
一体どこで間違えたんでしょう?
王様が宣言したから?
泣くおもちゃが生まれたから?
あぁ、でも考えてはダメ。
犯罪者になってしまうから……