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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

肌寒い冬の日に美女がガラスを突き破って現れた件

作者: 烏丸ちとせ

 ダイ・ハードを見て思いついた作品。クリスマスの日には何か起きるよね

 クリスマスイブ。そこら中、カップルだ。幸せそうだ。


 それに対して、私の手をつなぐ人はいない。


 ぬくもりなども存在しない。



「はぁ……」



 もう若くないのに無茶をしている気がする。毎日、仕事と家を行き来する生活。休みの日は恋人を作るような出会いもせずに遊んでいる。


 今年こそは平和にすごしたいと思った。だけど、無理だった。


「もしもし……」


 携帯電話がなったので、電話に出る。


「もしもし、大丈夫?」


 母からの電話だ。


「大丈夫じゃない。今年もだめだったよ」


 ぼろぼろになりながら私は立ち上がる。


「……はぁ」


 溜息が止まらない。目の前に現れた、今年のすべての元凶だ。とりあえず、やることは変わらない。


「無理しちゃだめよ」


「わかっている。ごめん、電話切る」


 私は電話を切った。すべての元凶は土煙を上げながら、地面に着地。周囲を混乱に陥れる。そんなか、スマホで写真を撮る人がいたり危機感がない人もいた。


 私はサングラスを装着して、準備を整える。


 とりあえず、なんでこうなったんだろう。私は死んだ目をしながら、回想するのであった。




 クリスマスの季節は静かに暮らしたい。できることなら、温かいご飯をたべて、骨を折ったり、血を流したりしないクリスマスにしたい。


 だからこそ、アパートで静かに部屋に籠っていた。今年は、御払いも行った。時間がある日に神社仏閣に行って、運も溜めたつもりだ。


 なのに……、どうしてこうなる。


 ガラスを突き破って現れる美女とドラゴン。私に向かってガラスの破片が飛んでくる。


 世界がスローモーションに感じる。私はすぐに身を隠して、ガラスの破片から身を守る。


「……ぅ」


 ドラゴンは血だらけ、女性の方は見たところ……あまり大きな怪我は見当たらない。


 ばこーん


 ドアの付近で爆発音。いやな予感しかしない。どたどたと階段を駆け上がる音。うちのアパートは1階が玄関になっており、すぐに階段となっている2階部屋。


 音の方向を向くと、銃器を持った武装集団。


「……」


 私は手を上げる。しかし、容赦なく撃たれた。撃たれて倒れた。


「……」


 すごく痛かった。痛くて、死にそうだが……生きている。痛みに耐えながら、土足で家の中に入る武装集団。リーダー各の男が口を開いた。


「やっと、捕らえた。世界を支配することができる力を……」


 声はとても男らしいもので、見た目は最終幻想と異名が付くゲームに出ていそうなイケメンだった。


「……すぐに運び出せ」


「はっ」


 武装集団は、美女を運び出そうとする。しかし、まだ息のあるドラゴンが暴れる。


「……」


 このまま寝てれば、平和な生活ができるかな。


「目撃者の処理も任した」


 はい、無理。放置されない。きっと、ろくでもないことされる。仕方がない、やるしかない。


 私はむくりと起き上がる。


「なっ……」


 敵が銃を構えた。しかし、遅い。この距離なら、ナイフのほうが有利だ。敵の装備品のナイフを奪い取り、人質にとる。


「……よせ、撃つな」


 リーダー格の男が静止を止める。


「……すみません。このまま帰っていただけませんか」


 私は正直に願うことを言った。


「悪いが、見てはいけないものを見た以上は逃すわけにはいかない」


「そうですか。それでは、それなりの抵抗をしようと思います。もし、私の要求を呑んでいただけるなら、私は家でのんびりとテレビを見て、おいしいものを食べて幸せなクリスマスを過ごそうと思います。この提案を選ぶ選択はないのでしょうか」


「君は自分の立場を理解して言ってるのか」


「はい、理解して言っています」


「……」


「……」


 高まる緊張感に、耳がキーンとなるような静けさが訪れる。さぁ、どうする。できたら、このまま放置していただけるのが、相手側にとって理になるはずだ。


 そして、静寂を破ったのは相手だった。


「……く、くっははははははははは」


「……」


「おもしろいことを言う。悪いが答えは、Noだ」


「そうですか。では、一身上の都合によりあなたたちをぶちのめします」


 一発触発。何が起きてもわからない。さぁ、はじめ……。


「目を閉じて」


 美女が叫ぶ。私は言われた通りに目を閉じることができずに強い閃光で目がやられる。


「めがぁああああ、めがぁあああああ」


 誰かが某有名キャラの台詞をさけんでいる。


 私も強い閃光で目がやられて目が見えない。


「こっち……」


 私を掴む手。やわらかい。強い光から回復すると目の前に美女がいた。


「乗って、しっかりつかまって」


 ドラゴンに乗せられ、私は美女と密着する。


「……」


 いい匂いがする。あと、とてもやわらかい。


「……ごめんなさい。巻き込んでしまって」


「大丈夫です」


 私は死んだ目で美女に答えた。


「あの……」


 私は美女に名前や事情を聞こうと話しかけた。


「……ごめんなさい。敵が来たわ」


 私が後ろを振り向くと、飛行ができるパワードスーツを着た人たちがいた。


「くっ……しつこいわね」


 美女は困った表情する。とても、かわいい。死んだ目をした私とは正反対だ。それに、腕に伝わるたわわわな感触に悲しみを覚える。やわらかいから、幸せであるからいいが……いや、そんなこともよりも現状を打破して何とかする方が先である。


「少し待ってください」


 私は飛び降りると、地面に着地。自分の中に眠る力を呼び覚ます。それと同時に胸に大きな風穴が空く。


 心臓がなく空虚な心に支配された感じがする。


「遊びましょう」


 きれいな服に身に包んだ私は胸に手を入れて、手品のようにライフル銃を取り出した。膝を着いて、構え、敵に狙いをつける。


だーん


 銃声が鳴り響く。それと同時に敵に致命傷を与える。殺しには至らないが追撃不能にはしておく。


 だーん、だーん


 追ってくる人たちをかたっぱしから撃ち、弾がなくなった胸に空いた穴から弾を補給する。


 すべての敵を追撃すると、もとの自分に戻る。


「……あなたは一体?」


 美女がドラゴンと共にやってくる。


「……ただのクリスマスを楽しもうとしていた人です」


「……すみません、そうは見えません」


「そうですか。では、過去に戦闘経験があるただの人です」


「普通の人は戦闘経験などないと思います」


 一般の人か……。私は、確かに格闘訓練や猟などで銃器の扱いもしている。すべては、クリスマスが悪い。


「……とりあえず、私は家に帰ります」


 家でのんびりしたい。じっとしてれば、何もしてこないだろう。それに、来るならぶちのめすだけである。


「駄目よ。あなたは、世界の存亡にかかわる事象に出会ってしまった。もう逃れることはできない」


「どういうことですか。そもそも……ああ、国家機関を黙らせるような連中か」


 和国の警察が出てこない。あんな武装した連中が平気で街を歩ける時点でおかしいのだ。つまりだ、ようは……国家機関にやつらの仲間がいる。


「私たちの仲間のいるところに案内する。さぁ、乗って」


 美女は私に手を差し出した。


「……おーけー」


 死んだ目で私は美女の手を取るのであった。




 生きている間にドラゴンの背に乗るとは思わなかった。もはや、ファンタジーの世界かお金持ちやセレブの世界の話だと思っていた。ともあれ、ドラゴンに乗って小さな灯台にたどり着く。


 灯台に着くやいなや、1人の老人が出迎えてくれた。また、ドラゴンは肩に乗れるサイズになって小さくなる。


「お久しぶりでございます」


 老人は頭を下げた。


「挨拶はいいわ。それよりも、大変なことになった。世界を守る要石が3つ壊された。幸い1つは守りきれたけど……時間の問題」


「なんと、それは大変だ。もし、これが破壊されたら人類は次の年を迎えることはかなわない」


 老人はなんともこまったように言う。


「……」


 人類の崩壊とか言っているが、そんなことはどうでもいい。私は平穏なクリスマスを過ごせればいいのだ。それだけでいいのだ。そもそも、人類が崩壊なんて……10000年後には人間いないと思うし。たかが2000年の歴史で終わったてなんら不思議じゃない。


「世界が亡ぶとかいうけど、何かあるのか」


 私が問いかけると、美女はこう答える。


「この石には人類を滅する邪悪な者が封印されているといわれているの。でも、女神と人は共闘を行い4つの石に封印したの。そして、来るべき日に邪悪な者が滅されると予言されていて……その日が明日なの。それまでに、石を破壊されたら邪悪な者が暴れて世界を滅ぼすと言い伝えられているの」


「それで、あいつは世界を滅ぼしたいのか」


「いいえ、あいつらは邪悪な者に秘められた力を利用しようとしているの。復活させて、力を制御しようとしているの」


「そうかい。それで、その石てのはどれなんだ」


「これよ」


 美女は片手で持てる石を私に見せた。


「……」


 私はその石を奪って、地面にたたきつけて破壊した。


「きさま、何をする」


「何って……こいつをぶちのめして、私の平穏を鳥も出す」


 私は死んだ目で老人に向かって言い放つ。


 割れた石からは、黒いもやもやが現れる。そして、とつてつもない威圧感のある気配が目の前に顕現した。


「……ついに、封印が解かれたか」


 黒い靄に包まれた人型の何か。私は死んだ目で見ていた。最初はなんか、すごい威圧感があったけど……そんなことはどうでもいい。


「おい、世界を滅ぼすのやめてほしいだけど……」


「なんだ、人間か。我に命令するなどおこがましい。ここで、死ぬが……ぶへら」


 私は邪悪な者とかと呼ばれていた奴を殴った。殴ると思い切って吹き飛んだ。


「……物理効くんだ」


「……」


「……」


 美女も老人も目が点になっていた。


「よし、あいつが世界を壊さらないように殴ろう」


 私は邪悪な者に歩み寄る。その際、体中に鎖がまとわりつくが気にしない。その鎖を引きちぎるだけである。引きちぎった後には和装をした鬼に私はなっていた。


 自分のまがまがしい姿を気にすることもなく、邪悪な者を踏みつぶし、馬乗りになって何度も何度も殴った。


「ごふっ、ぐへ」


 情けない声が響く。


「世界を滅ぼさないと誓うか」


「……無駄だ。われ……げふぉ」


 とりあえず、泣いても止めない。私の平穏を奪ったこいつを許さない。私は悪鬼としてこいつを殴り、悪を成す。


 そんなこんなで、2時間ぐらいなぐったら、降参してくれた。本当に助かる。


「……よし、世界を滅ぼさないならそれでいい。これで一件落着だよな」


 私が問いかけると、美女は困惑した表情でこう言う。


「ええ……そうね。でも、あなた……何者?」


「ただのクリマスを幸せに過ごしたい一般人……ですよ」


「いやいや、どうみても普通じゃないから」


 老人は手を目の前で何度もよこに振って否定する。だが、私は一般人だ。軍のエリートでもない。ただ、身を守るための格闘術と銃の使い方を猟で習っただけの人である。


 たしかに、人ならざる力はあるが……大した力ではない。それに、そんな力があっても意味がないのだ。世界を救ってもお金は出ない。お腹は膨れない。それどころか、街を壊したと怒られることさえある。


 ヒーローなんていいことない。悪を働いたほうが、得することのほうがおおいのだ。本当に狂っている。


「そ、その人間には逆らわないほうがいい」


 邪悪なる者がぷるぷると震えながら私に指をさして言う。


「……そうじゃな。ここは素直に家へ帰してやろう」


 老人は納得したかのように言う。さぁ、これで無事に家に……あれ、あのワゴンなんだろう。


「やつらだわ」


 美女がそういうと同時にワゴンから武装した人たちがわらわらと出てくる。しかも、武器を構えて撃ってきた。


「まずい、こっちだ」


 老人の案内ともに建物に隠れる。


「くそぉ、あいつら撃ってきやがった」


 老人がぼやく。


「……はぁ。なんでここにわかったんだ」


 私は物陰に隠れながら考える。すると、ふと目につくもの。洋服に着いた小さな物体に目がついた。赤くぴこぴこと光る物体。手にとって近づけてみて……。


「これ、発信機かも」


 私は死んだ目で言った。


「なんということだ。してやられたというわけか」


「そのようです」


「そんなことより、ここから逃げないと……」


 美女の言う通りだが、逃げても終わるきがしない。


「人間よ。困っているようだな。くっくっくっ、実に滑稽だ。我に涙を流せ……すみません。なんでもないです」


 私が死んだ目で邪悪な者を見たら黙った。とりあえず、銃撃が終わったら家に帰れるか交渉しよう。うん、見逃してもらえるはず。さっき、たくさん暴れたしね。


「……ふむ、人間よ。ここは我にまかせよ。我とて、弱いままでいたくはない。かつて、1つの文明を数秒で破壊したわが力を見せてくれようぞ」


 邪悪な者はそう言って、自らの姿をさらした。


 銃撃が止む。ああ、これですべてを蹴散らして終わるパターンだ。よし帰るぞ。私は楽できると思って喜んだ。


 邪悪な者は大股で歩きながら、敵の前に出ていく。


「さぁ、一瞬で終わりにしてやろう」


 邪悪な者がそいう言う。しかし、敵は邪悪な者よりも一歩上手だった。


「装置を使う」


 リーダー格のイケメンの男が言うと、アタッシュケースから小さな拳銃を取り出した。


 そして、それを邪悪な者に向けて撃つ。


「ふっ、痛くも痒くもないわ」


 邪悪な者は、胸に弾を受けたが平然としていた。


 1歩1歩と余裕な歩みを見せる。しかし、歩みが止まった。


「な、力が……力が抜けていく……」


 そいうと黒い靄が取り払われる。


「そんな……ありえない。なぜだ……まさか……魔人エルデトーロ・バルキー・ゴルベーサーロー・ロネルトーレル・エルペテーロカネ・トルデロートルーゼネーの力。なぜ、貴様がその力を持っている」


 すげぇ、名前の魔人がいたようだ。とりあえず、その力がなんだというのだろう。


「……我は魔人の子孫。そして、今1度……魔人が支配する世界をここに復活させる」


「……おい、状況を悪化させたぞ」


 私は叫んだ。


「くっ、あの魔人を助けなきゃ」


 美女は、そう言って飛び出した。


「……まって、これ、明らかにまずいパターンだから」


 私はそう言いながらも、援護するために貴族のような姿になる。胸に風穴が空き、中からライフルを取り出して敵の持つ銃をすべて撃ち落とす。


「はやく、その魔人を回収しろ」


 私は叫ぶと美女が魔人を抱き上げて龍に乗せる。


「逃がすか……」


 イケメンの男が美女の前に立ちふさがる。


「させないわ」


 私はイケメンの男に銃撃を行う。しかし、見えない壁に阻まれる。


「……」


 喰う。私は鬼となってとびかかった。何度か攻撃を加えて見えない壁を破壊。一気に畳みかけるが、私の攻撃をひらりと避けて、反撃。


「がほっ」


 腹に攻撃を受ける。お腹に大きな衝撃で一瞬、息が詰まる。


「弱いな」


「くっ」


 実力は相手のほうが上かもしれない。私の眼前に敵の拳。受けたらまずい。腕を使って受け流すが、衝撃が体全体に襲い後ろへと吹き飛ぶ。


「圧倒的すぎる」


「ここは逃げるのじゃ」


 老人はどこからか、車を用意してやってきた。私は何も言わずに車に乗り込む。


「しっかり、つかまっておれよ」


 老人はそういうと、超絶的なドライビングテクニックで逃走を行う。幸いにも、私たちを追う価値がないのかイケメンの男は追いかけてくることはなかった。


「……えらいことになった。魔人エルデトーロ・バルキー・ゴルベーサーロー・ロネルトーレル・エルペテーロカネ・トルデロートルーゼネーの子孫が生きていたなんて」


「知ってるのか」


 老人に私は問いかけた。


「知っているもなにも、世界の滅亡に導く魔人の1人じゃよ」


「そうなんだ。毎年、こんな感じだからわからない」


 ともかく、やつを倒せば終わるのだろう。けれど、情報を集めたほうがよさそうだ。普通に戦っても勝てない。鬼となった私の攻撃を避け、さらに私にダメージを与えたのだ。簡単に倒せない。


 私はポケットから携帯電話を取り出して、ある人物に連絡をかける。


「もしもし、私だ」


「ふむ、今年もだめだったか」


「ああ、それで情報が欲しい」


「いいぞ、今年はなんだ? 魔人……なんだっけ、えるでなんとかばるきーとか長いやつ」


「……ん、魔人エルデトーロ・バルキー・ゴルベーサーロー・ロネルトーレル・エルペテーロカネ・トルデロートルーゼネーのことか」


「よく、長い名前を覚えられるな?」


「最近、それに関する組織の動きが活発だからな」


「……そいつが、なんか別の魔人の力を手に入れた。対策はあるか」


「ないな。正直、力でねじ伏せるしかない」


「……いつも通りということか」


「そいうことじゃ。まぁ、頑張るのじゃな。それと、携帯の電源はonにしておくのじゃ。逆探知で援護に行くから」


「頼むよ。あと、敵が来たから切る」


 私はそう言って、通話を着る。


「くっ、思ったよりも早かった」


 老人は後ろを振り向いて言う。


 私も後ろを振り向くと、白い飛行機雲。その先端にはイケメンの男がいた。


「……どうせ、こうなる運命だったんだよ。とにかく、車を止めてくれ」


「どうするつもりじゃ」


「……ぶちのめす」


 私はそう言って、鬼の姿へとなる。


「無茶じゃ」


「誰かが倒さなきゃ、明日は来ない。なら、ここで終わらすだけだ」


 私は死んだ目で老人に言う。老人はそれに対して、車を止めて、1本のジュースを手渡した。


「怪我をしたら飲むのじゃ。傷をすぐに治せるはずじゃ」


「ありがとう」


 私はジュースを受け取ると、車から降りる。


「離れてろ」


 私がそういうと、老人は車を走らせてその場から離れる。


 そして、入れ替われるように現れるイケメンの男。まがまがしい黒いオーラが見える。


「……戦うか。愚かな、戦っても無駄だというのに」


「私の平和なクリスマスをぶち壊して何をいっているんだ。ほっといてくれ」


 私は死んだ目で言う。


「……ふっ、私の計画に不穏な分子は不要だ。それに……貴様は妙な力を持っている。もしかしたら脅威になるかもしれないのでな。ここで、貴様を殺す」


 どごーん


 どこかのバトル漫画のように地面がへこんだり、地面の一部が宙に浮かんだりする。


「……」


 それに対して、私は構えるだけである。とても地味だ。空を飛んだりといか、スタイリッシュな力は私にはない。


 それに対して、相手はスタイリッシュな動きで私に接敵。攻撃を仕掛けてくる。


 私ができることは、攻撃をガードするだけだ。


「ぐっ」


 1撃が重い。反撃で蹴りを入れてみるが、避けられる。


「早い……」


「我が闇に飲まれて死ぬがよい」


 手からビームが出てきて、私に襲い掛かる。その場からジャンピングダイブをして避ける。当たったら終わる。


「我が闇は無限」


 イケメンの男はそう言うと中に舞い上がり、周囲に黒い球体が現れる。黒い球体から大量のビームが飛んでくる。


「ぐっ」


 私は走って逃げる。大量の爆発音が後ろで鳴り響く。


「はぁはぁはぁ」


 一方的な遠距離攻撃で反撃の余地がない。胸に風穴が空いた貴族の姿になることすら敵わない。


「ふっ」


「なっ」


 敵は黒いビームを利用した移動方法で私の前へと突如として現れる。


「げほぉ」


 蹴り飛ばされる。体が宙に舞いかがるのがわかる。


「くっ」


 しかも、敵はビームを利用して追撃を仕掛けてくる。体をひねって避けるが、すべてを避けることができない。空中で一方的に攻撃を受ける。


「くははははははははは、貴様はその程度か」


「………」


 何もできない。早すぎて、何もできない。


 一方的に攻撃を受ける。ただ、それだけだ。とても、痛い、つらい。


「すばらしい。この力があれば長年の悲願が叶う」


「……」


 どこん、攻撃をわき腹に受ける。内臓が出てるかもと思った。それと同時に、ポケットに入れたジュースもこぼれる。


「うっ」


 じゅわという音を立て、私の傷を治す。すごい激痛だが、ちらりと傷を見ると白い肌が見える。傷が治っていた。


「……ふぅ」


 私は息を吐く。そして、敵を死んだ目で見る。敵が遅く感じる。かなり時間がかかった。


「これで……なっ」


 私は敵の攻撃に、攻撃で反撃した。


 お互いの力が反発して、反対方向へと吹き飛ぶ。


 どーん。


 地面に激突。人がいる街中へ落ちてしまった。そして、母から電話が来て……今にいたるわけだった。



「サングラス持っていてよかった」


 私は敵を見据えながら言った。それに対して、イケメンの男は力任せの攻撃を仕掛けてくる。


「……遅い」


 もう、お前の速度は遅く感じるんだ。敵の攻撃を受け流し、カウンター。地味だが思い一撃を与える。


「なっ」


 イケメンの男は驚愕な声を上げるが、すぐさま次の1手。それもカウンター。パイルドライバーを決める。


「ばかな、ありえない。俺の力は絶対だ」


「ああ、少し前まではな。けど、今は私のほうが強い」


 私は奴の顔に強烈な一撃を与えて空へと吹き飛ばした。きらーんという音がしたが気のせいである。


「ふぅ」


 私はため息をつくと、携帯電話でとある人物に電話をする。あと処理をしてもらうためだ。


「……もしもし」


「おお、終わったのか」


「終わったよ。どうすればいい?」


「そうじゃな。“猫猫遊び”という居酒屋が見えるか」


 私は周囲を見回して、“猫猫遊び”という居酒屋を探す。


「あった」


「なら、それに入って、裏口に出ればいい」


「了解」


 私は言われた通りに、“猫猫遊び”という居酒屋に入る。


「いらっしゃい。話は聞いているよ。こっちに来な」


 私はそう言われて店の奥に案内される。そこで、服を渡される。


「これ貰っていいから。これで、裏口から出な」


「ありがとう」


 私はお礼を言って服を着替えて、裏口から出る。ぼろぼろの服は捨てた。


 そして、私はすぐ近くの駅から家へと帰る。携帯がICカードの代わりになるから助かった。つぶやきさんで、最新の話題を見ると、タイムラインに私が暴れた内容がトレンドに入っていた。


「……はぁ、今年もか」


 サングラスかけて、身元ばれてないだけいい。そもそも、鬼で暴れている時点で変身しているようなものだ。ある意味、身分を隠せてると言ってもいいかもしれない。だけど、いい気分はしない。結局、やってることは暴力である。


 そういえば、あの美女とか、老人とか、魔人はどうなったんだろう。なんというか、もうどうでもいい。クリスマスなんだ。久しぶりの休日なんだ。平穏に暮らしたいのだ。私はそう思いながら、電車に乗った。


 目的の駅に着くと、すぐ近くのスターカフェで大好きなキャラメルマキアートを買おうと立ち寄る。からんからんと音を立てながら、店に入るとあの美女とか、魔人とか、老人がいた。


「……」


 私は背を向けて帰ろうとした。もう、これ以上の面倒は嫌だ。


「まて、まて」


 そういわれて、店長に肩を掴まれる。


「……」


 私は死んだ目で店長を見た。ちなみに、店長もいろいろ世界を救うのに貢献している人である。


「あなたには感謝しても、感謝しきれません。そして、ついに私たちは使命から解放されました」


 美女は膝まづくように私に言う。


「そして……このくだらない世界を終わらすことができます」


「……店長」


「なんだ……」


「図りました?」


「おう」


「うぉおおおおおおおおお」


 私は鬼となり、店長を巻き沿いにしながら最大限のパワーで蹴った。


「うぁわあああああああ」


 終われ、終われ、終われ、クリスマス終われ。私はすべてを終わらそうと、美女を殴った。店長も殴った。


「はぁはぁはぁはぁ」


 美女と店長が動かなくなると、老人を見た。


「わしは関係ないぞ」


「わ、わららも関係ない、見逃してくれぬか」


 魔人と老人は土下座している。それと、よく見ると魔人はかなりかわいい女の子だった。


「……そうか。それと店長。タクシー代デマスヨネ」


「おう、でるぞ。たくぅ、あいかわず冷たいな」


「……私のクリスマスを台無しにしないでください」


「キャラメルマキアートとケーキ付けるから、見逃して」


「わかった……」


 私はそれで店長を許すことにした。そして、タクシーが来ると私は無事に帰路に就く。そして、家に戻るとガラスが吹き飛んで、そのままになった家。


「……そうだった。映画じゃないんだよな」


 映画見たいにすべて、無事解決なわけない。私は死んだ目で、とある人物に電話を掛けた。


「もしもし……」


「そろそろ、電話くると思っていた。後処理じゃろ」


「うん、アパートのガラスがぼろぼろ」


「ほっほっ、毎年ひどいのぉ」


「……そうだな」


 もう、どうにもなれ。私はそう思いながら空を見る。


「雪だ。でも、寒いよ」


 ホワイトクリスマスになるようだ。全然、うれしくない。肌寒い。私は震えながら、修理の人が来るのを待つのであった。



登場人物紹介


・私


 毎年、こんなかんじ


 クリスマスの日に、世界の滅亡とかに巻き込まれる哀れな人。これで悲しい過去も背負うことになっている。なお、恋人はいない。一応、できそうだったが、まぁ、お察しください。

 なお、私の功績ははかりしれず、毎年世界を救う正義の味方である。しかし、やっていることは暴力による鎮圧であることを自覚しており、自分が正義の味方や英雄と呼ばれるのを嫌っている。



・美女


 実は最後は黒幕


 超純情な人に見えて、世界の終わりに導こうとしていた人。理由はまぁ、この世界が腐っているとかそんな超絶理論である。いずれにしろ、主人公と敵対した時点で破滅フラグである。


・老人


 太古の予言を信じて一族代々と世界を守り続けた人。私によって、すべての使命から解放され、一族は普通の人生を歩めるようになった。


・魔人


 じつは超かわいい女の子


 黒い力を持っている。うずく右腕とか言ってはいけない。ただ、いろいろあれだったので、世界がやばいので、いろいろ封印された。今は世界を滅亡する力なんてない魔人ちゃん。第2の人生を漫筆中。和国のサブカルチャーにぞっこん。


・電話の人


 毎年、主人公にいろんな情報や、後処理をしてくれる人。政府の人間であるが、主人公の味方の立場をとっている。国としては排除したいが、排除しようとすると見えない力が作用してるのか、破滅に向かうため、そのストッパーとしても動くことも。とにかく、いろんな後処理はこいつに電話すればokな人


・私の母


 毎年、不幸に巻き込まれる私を心配する母。なんだかんだ、戦闘力はある。年齢と見た目があってないことから、何かしらの事件に巻き込まれた結果ではないかと主人公は推測している。とにかく、謎が多い。なお、関係は良好である。




 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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