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最底辺の理想郷(ユートピア)  作者: 上山 璃御
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第三話「いつだってそう」

優希はすーっと息を吸うと「初めまして、大野優希と言います!!」大きな声で自己紹介を始めた


「大野君はね皆も知っていると思うけど、あの大野光輝の息子さんなんだよ!!」先生の余計な発言でまたも教室がざわめき始めた。


「はぁ」小さくため息をすると「今後の目標は学内での序列を上げ、国家魔法士になることです!!」優希は迷いのない目で目標を言った。


その発言に周りの反応はミリアと同じ歓喜あふれていた (今は…)


国家魔法士とは国が認めているデバイサーのことで、戦争などテロなど魔法的攻撃が確認された場合に自衛隊、軍隊と同じように派遣され、今ではその国家魔法士の強さが一戦を変えるぐらい戦いにおいて重要な存在となっている。そのため選ばれることは容易ではなく難関とされている、危険を伴う代わりに国が所有しているネットワークにアクセスができ、あらゆることを調べたりすることができる。もちろん給料もとても良い。



有名な育成学校だと学内の成績いわゆる序列が高いものに国家魔法士になるための試験などチャンスを掴むことができるので基本魔法科の学校に入る人の目的はこれになる。優希も例外ではなく狙っているのだが問題は高成績者、何百といる生徒の中で序列一桁の生徒にしかチャンスは与えられないということだ。


そもそも序列とは筆記の試験つまり中間や期末試験とメインの実技両方の成績で決められ、年に何回か序列のためのバトルコロシアムみたいのが開かれそれにエントリーし、自分より高い序列の人を倒したらその序列と入れ替わる仕組みになっている。

コロシアムは強制参加ではなくエントリーをしなければ出なくても構わない。逆に言えばエントリーをしなければ序列はもらえないということだ。一応全員が参加できるようにコロシアム自体は大きなもので他人が観覧できるようにもなっている。それと序列にあまりにも差がある人同士では戦うことはできず、百番台以降の人の戦える間隔は50、百番台から十番台までの間隔は10、一桁の人同士の間隔は1となっている。


そんな厳しい条件の中で掴める国家魔法士のチャンス、教室がざわめくのも当たり前である。


そして自分の魔力値を皆に告げる「今大口を叩いたけど魔力値は…F…です!!」


優希ははっきりと言った誰一人が聞き間違えのないように、聞き直されないように。


周りの反応は分かりきっていた通りに優希を見る目が変わっていた。


当然の反応だ、ここはいわゆる名門校、皆それなりの努力をして入ってきている。そんなところに魔力値最低ランクの落ちこぼれが、しかも明らかに親のコネで来たような生徒にいい顔するわけもない。


だが優希はそれでもここに通うことに何か意味があると信じて決断をした、親父を信じて。


「おいおい まじかよ…」  「Fランクだって」  「期待して損したね」 「早く帰れよ…ここはお前が来るような場所じゃない…」周りのざわめきは収まらない。


「はぁ」優希は周りに聞こえない小さなため息をした。だが優希の表情は思った以上に普通だった。


(これで何度目だろう…いつだってそうだ…期待され…失望されるのは…今までもずっとそうだった…もう慣れたよ)


優希とミリアは先生の指示でざわめきの中、席についた。


授業が始まると先生は教室に馴染んでほしいのか、おもむろに優希を指でさした。


「大野君、魔法や魔力それとデバイスについて簡潔に説明してくれる?」


「はい!」優希は大きく返事をすると先生の問いに答え始めた。


「魔法とは、魔力を媒体に、デバイスを通して初めてその能力を発揮できるもので、使える能力は本来の魔力の性質には左右されず、例えば火を操る性質の魔力が流れていても、デバイスを通して使える魔法は火を操るものではなかったりします。そしてごくまれに、強大な魔力をデバイスに通し魔法を使い続けることにより本来デバイスがやっていた魔力を魔法に変換する作業を、体自身が出来るようになり、魔力の性質の魔法が使えるようになり、これをデュアルスキルと呼びます。」


実は一人につき使える魔法は一つなのだが例外もある、それがデュアルスキル。だがそれに至る人間は膨大な魔力を持つ人間のみ、なのでごく少数である。魔法、魔法と呼ばれているが、実際に能力を使うまでの過程で、魔法陣など、術式が必要なのでそう呼ばれているが、基本的なことはすべてデバイスがやってくれるので、どちらかと言えば超能力にお近い分類である。


「ありがとう大野君 よくできてるは、さすがね」先生が優希をほめると周りからは「なんだよFランクのくせに」などのヤジがコソコソと聞こえてきた。


「そうだ優希君とミリアさんはまだ学校の案内をされてないわよね!!」


「はい まだですけど」二人は声をそろえて答える。


「じゃ~昼休み案内するね…私は用事があるから学級委員の天草さんと石田君お願いできるかしら」


不穏な教室の雰囲気を感じて、友達ができるようになのか、先生は案内を学究委員の二人に頼んだ。


「はい…分かりました…」天草が小さく答えると石田も後を追うように「分かりました…」と答えた。


そして授業が終わり、昼休みに入ると、学級委員の二人に連れられ、ミリアと優希は教室を後にした。









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