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五話 伊藤ほのかの傷心 その七

「あれ? キミ、どこかで会ったような……気のせいか!」

「会ってねえよ、こんないかついヤツ。会ってたら忘れるわけないっしょ?」

「だよな! 俺、一度あったヤツのこと、忘れねえし」


 忘れていない? どの口がそう言うんだ。

 ドス黒い感情が心を支配していく。恐怖は怒りで塗りつぶされていく。抑えきれない、今までに感じたこともない感情があふれて抑えられない。



 ユ……セ……ナ……イ。

 コ……シ……シ……エ。



「……おい、いい加減にしろ。そいつ、嫌がってるだろ」

「ああん? 何? 俺達に意見しちゃうわけ?」

「うわ~、シラけるわ。せっかく誘ってやってるのに」


 突然、一人の男子が俺に殴り掛かってきたが、それを(なん)なくかわす。俺は逆に男子を取り押さえた。

 大丈夫だ。俺は強くなっている。コイツらに負けてない。コイツの拳は遅すぎる。

 完全に恐怖は消え去り、怒りが込み上げてくる。


「なんなんだよ、お前! お前に何かしたのかよ!」

「俺の事、覚えていないのか?」

「知らねえよ! 何もしてねえだろ、お前には!」


 ふざけるな! お前達がどれだけ俺達を苦しめてきたのか忘れたのか。



 ユル……セ……ナイ。

 コ……ロ……シ……テ……シ……マ……エ。



「それなら……田宮健司のこと、覚えているか? 俺の友達だったヤツだ」

「田宮健司? 誰か覚えてる?」

「い~んや、誰?」

「芸能人?」

「芸能人がこの学校にいるかよ、バカか、お前?」

「おい、お前のせいでバカにされただろうが!」

「い、痛い! もう止めて!」

「しゃべるな、ゴミが!」


 覚えていないだと? ふざ……けるな!

 俺が……俺達がどれだけ苦しめられたと思っているんだ?

 今でも苦しんでいるのに……健司は泣いていたのに……俺達から思い出も友情も、一緒にいられた時間も奪ったくせに。

 涙で視界がにじむ。頭の中が憎しみと殺意であふれかえる。健司……健司……健司……。



「なあ、正道。俺達、ずっと友達だよな?」



 健司……俺は……俺は……こいつらを……。



 ユ……ル……セ……ナ……イ。ユルセ……ナイ。

 ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイ!



 コ……ロ……シ……テ……シ……マ……エ。コロ……シテ……シマエ。コロシテ……シマエ!

 コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロシテシマエアイツラニムクイヲアイツラニサバキヲアイツラニシヲ!



 メ・ノ・マ・エ・ニ・イ・ル・ア・ク・マ・ヲ・ヤ・ツ・ザ・キ・ニ・シ・ロ。



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