三話 伊藤ほのかの猛省 失われた楽園 その四
私は風紀委員の部屋で正座していた。
肩からフリップボードを下げ、そのフリップには『反省中』と書かれている。
「あれ、伊藤氏、何してるん? そんなフリップぶら下げて」
「お仕置き中だ」
ううっ、恥ずかしさと先輩の冷たい視線のダブルパンチ。
でも、先輩から冷たい目でみられるのもいいかも……いけないいけない。
私はじっと耐えることにした。
邪念を捨て、澄み切った曇りのない心境……これすなわち明鏡止水。
今ならスーパー○ードが発動できそう。愛は~いつでも~この胸に~。
「はあ、やっぱり伊藤さんですわね」
「期待を裏切らない女、流石は伊藤氏だぜ!」
「色ボケしすぎなだけやと思うけど、咲はどう思う?」
「ええっ! ここで私にふるの! それはちょっとは……じゃなくて、み、御堂先輩はどう思いますか?」
「破廉恥だ」
「まあ、仕方ないよね。伊藤さんはちょっと桃色だし。正道はどう思う?」
「……反省してくれ」
「うわぁああああああああああああああん!」
落ち着けるわけないじゃない!
ひどい、みんな! バーサーカーシ○テム発動しちゃうよ! 私だけが悪いなんておかしい!
私はみんなに抗議する。
「ちょっと待ってください! 私だけ悪者のように吊るし上げられるのは間違っていると思います!」
「いや、伊藤氏がスケベなだけでしょ?」
その言葉に私はキレた。
「お、男の子の方がスケベでしょ! 女の子を媚薬や催眠術で○○○したり、○○したり、○○撮って脅迫して、あまつさえにゃん○ゃんプレイだなんて、ありえない妄想もいいトコじゃないですか! このご時世、奴隷とかありえませんから!」
「お、落ち着け、伊藤。お前、何言ってるかわかって……」
「先輩は黙っていてください! 大体、男の子の妄想は……」
突然ですが、これからの伊藤ほのかの発言にはR15を超えた卑猥な表現が多々あった為、カットさせていただきました。申し訳ありません。
あああっ、黒歴史だよ~。
私は罰として風紀委員室を一人清掃していた。
やってしまった……ついカッとなって、言ってしまった。
私の発言に朝乃宮先輩さえドン引きしていた。みんな帰ってしまったけど、先輩だけが最後まで待ってくれた。
やっぱり、先輩は優しい!(監視役ともいうけど)
真面目に掃除した甲斐あって、先輩の小言も少なかった。
はあ……明日から風紀委員室に来るのが憂鬱。夕暮れの廊下を一人とぼとぼと歩いていく。
先輩は事後処理があるとのことで、一緒に帰れなかった。
はあ……今晩はコロッケが食べたいな……。
「どけどけどけどけ!」
「きゃ!」
後ろからやってきた男の子達を、私は避けるように廊下の端に移動する。
そこで私が目にしたのは……。
「ひどい……」
担架で運ばれている、ぼろぼろになっていた男の子だった。
顔が腫れあがっている。意識がないのか指先一つ動かさない。私はこれ以上直視できず、目をそらした。
先輩達も不良に暴力をふるうけど、手加減はしている。
一番手加減が下手な先輩でも顔が腫れあがるまで殴ることはない……んだけど、あれ? 何か引っかかった? でも、なにに?
でも、暴力ってやっぱり怖い……。
ここまで人を傷つける暴力に私は震えていた。
遠くからサイレンが聞こえてくる。私はただ立ち尽くすことしかできなかった。




