表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

メガネ

<プロフィール>

商業では粟生慧で執筆しています。

おもに電子書籍ではBL中心です。

商業の内容はほぼエロです。

こんなこと、この年でするなんて、笑われるかもしれない。でも、少しでもいいから、彼と関わっていたい。


そう思って、市原はメガネを手に取った。メガネ屋の店内でしばし、手に持った眼鏡を見つめる。そのメガネは嵯峨のかけているものにそっくりだった。心の奥では、つながりを持ちたくて、嵯峨のメガネと似たものを購入しようとしている。でも、本当を言うとこんなばかばかしい考えは採用したくない。おそろいのメガネをしたからと言って、嵯峨が市原に急に特別な感情を抱くわけがない。


そうだ、そんなことわかっている。


そう思い、市原は深くため息をついた。



「嵯峨くーん、おっはようごっざいまーす!」

いつもの朝。嵯峨の通り道をふさいで、抱きつくように両手を広げて、市原は駆け寄った。

「嵯峨君、眼鏡貸して?」

「ああ? あー」

まともに口すら聞いてくれない嵯峨とコミュニケーションを取るのはつらい。それでも辛い気持を顔には出さないようにする。受け取ったメガネをかけてみて、嵯峨の体温をプラスチックのつるから感じる。度の合わないメガネの向こうに歪んだ景色とぼやけた嵯峨の姿がある。

「嵯峨君がより素敵に見える! アイラビュー嵯峨君!」

「うっせぇ、早く返せ」

「いやです!」

無駄な抵抗だとわかっていながら、市原は嵯峨のメガネをかけたまま、向きを変えて大学の構内を走った。

「あっ、市原! この馬鹿!」

背後から嵯峨の罵る声が聞こえる。無機質なメガネでつながっている微妙な関係。きっと、次の瞬間には壊れる。


ご感想お待ちしております。

なお商業収録作品は除外しております。

「キミイロ、オレイロ」

「悪徳は美徳」

「不確かな愛を抱いて」

「甘い蕾を貫いて」

「山神様といっしょ!」

関連作品のみ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ