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老教授、少年に転生――教授は異界を書で拓く  作者: 千本松


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第二十一話「少年少女の右往左往」



「全てのグールの呪を解こう。あるべき場所へ帰るといい」


 グールは深くうなずき、闇に溶けるように姿を消した。

 その様子を見ながら、バスレはただ膝を震わせていた。


「う……! うぅっ……こんな……こんなの!」


 九重は冷たい視線を向ける。


「まだいたのかね?」

「こんなの……――認めない! 禁書を使うなんて、悪魔のすることだ!」

「禁書?」

「この……――ばかぁぁぁっ! 覚えてろ!」


 捨て台詞にもならない叫びを残し、バスレは駆けだした。

 足をもつれさせ、転びそうになりながら。



 そんな二人の様子を、近くの林の影から、小さな目が覗いていた。


「信じられない……怪物がひれ伏した」


 リアは呆然と呟く。

 その隣で、ミカは目を見開き、声を弾ませた。


「ていうか――すごい……! かっこいいね……まさに支配者って感じ」

「なに言ってるの! 姉様があんな目に遭ったんだよ!?」

「バカ! 声がでかい!」


 その背後から――


「やっと見つけました」


 疲れ切った声とともに、レーナが姿を現した。

 顔には土埃がにじみ、肩は荒い息に上下している。


「さんざグールと戦い……教授様が心配で戻ってきたら……」

「れれっ! レーナ先輩!?」

「う~わ……先輩……顔真っ赤」

「やはり、あなたたちが悲鳴の主でしたか……ここで何をしているのです! リアさん! ミカさん!」


 騒ぎのただ中に、いつの間にか九重の影が差した。


「戻ったのかね、レーナくん」

「ひゃあっ!? きっ、来たぁあっ!」


 リアが半ば涙声で叫ぶ。

 その声を背に、ミカの視線は九重の横顔へと向かった。


「へぇ……近くで見ると、お顔もなかなか」


 九重は訝しげに目を細める。


「……次から次に……いったい、なんだね」


 レーナは困ったように眉を寄せ、小さく頭を下げた。


「失礼しました教授様……この二人は、国立寄宿舎の後輩です」

「その後輩が、どうしてここにいるのかね?」

「少々お待ちください、すぐに吐かせますので」


 レーナの本気の瞳に射抜かれ――二人は青ざめて絶句する。


「だから……殺し屋のような言い方はやめたまえ」




▼次回「絶望の棄却」

お読みいただきありがとうございました!

表紙イラストやキャラ設定は、Xで随時公開しています。

今後ともお楽しみいただけましたら幸いです。

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