心得その1「異世界転生の準備は現世ですべし」
この書物を拾った貴方は運がいい。素晴らしい異世界ライフを送ってくれたまえ。
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心得その1「異世界転生の準備は現世ですべし」
僕の夢、それは———
「異世界転生して、ハーレムを作るんだ!」
それを聞いた幼馴染は意味の分からない顔をしていたのを憶えている。
現世には様々な文献がとり揃っていた。
異世界転生のラノベ
異世界のアニメ
異世界のゲーム
異種族の基本的な性格がまとめられた攻略&設定本
造形が確認できるフィギュア
wikipediaと異世界について討論できるスレッド等
様々な想定を行うには、なにも困ることはない。僕はありとあらゆる文献を読み漁った。
異世界転生を進めるにあたって、僕が導き出した前準備はこうだ。
1.できるだけ純粋無垢でいること
2.神様に対しアドバンテージを持ってること
3.神様は大きな武器になる
【1.できるだけ純粋無垢でいること】
やはり純粋でいるという事は大切だ。まずは異世界があるという事を信じながら生きること。サンタクロースを信じなくなった途端にサンタクロースは来ないのだ。僕はこれを身をもって知っている。だから僕は異世界があるという事を信じ続けた。そして、その準備も怠らなかった。そういった人物にこそ異世界転生という切符が送られるのだ。これは結局確率論というところがあると思う。僕があらゆる統計を取った結果。やはり異世界転生というものを知っている人間の方が異世界に転生される確率が高いように思う。
異世界に転生される主人公の大半が「異世界」というものを認知している。知らないままに転生される物語も時々は見かけるが、それは大抵が集団転生による巻き込まれであって、主人公が恵まれるようなチートスキルなんかには恵まれない。せいぜい基本ステータス高めの職業だろう。また、その中には「知らないていを取っている」という人間も含まれる。詳しくは知らないけど、みたいな感じだ。そんなもの絶対に嘘だ。彼らは異世界なんて信じるのはダサいという感覚を、異世界に転生した後も続けている小心者だ。そのような人間が行きつく場所はほのぼの系の日常異世界転生だ。(上記に至っては、日ごろの疲れによる過労死で、そのような生活を求める場合が多いので別に悪くはない。)
しかし僕が求めるのは、完璧なる異世界転生によっての、「異世界ハーレム」だ。日常系は求めていない。モテなければいけない! とにかくだ!
その為には日ごろの前準備、勉学が必要だ。すでに戦いは始まっていると言えるだろう。
もしも異世界転生に選ばれたとき、神様の前では「驚き」「理解度と順応性」「神様への感謝が必要だろう」
「鈴木太郎さん、貴方は死にました」
「え、」
「驚くのも無理はありません、、、ですが安心してください。あなたは選ばれし者です」
「つ、つまり?」
「貴方に異世界転生の切符を授けましょう!」
「か、神様! ありがとうございます!! 僕は異世界転生を知っています! 知っているどころじゃありません。知り尽くしています! こんな幸運を僕に授けてくださったことを感謝します。僕はこの時この瞬間の為にあらゆる準備をしてきました。どんな世界でもバッチこいです。魔法の国ですか? それとも異種族モノですか? 僕が勇者になったりですか? 何でも大丈夫です。神様の手を煩わせることはありません。僕はどんな世界に行こうと、僕はぼくのまま、何も変わらず、誠心誠意楽しみます。何もやましい気持ちなどありません。僕はこんなに綺麗な神様に出会えて感激しているだけです。さあ、僕に新たな道しるべをください」
「は、はぁ、そうですか」
※補足1、過度な表現は慎みましょう。ある程度な順応性を見せればいいです。ですが無知すぎるのはいけません。無知すぎると神様が次に世界での暮らしを心配されてしまいますから。(上記において、心配されることでチートスキルを貰うというパターンがありますが、無知すぎるとそのもそも転生への切符を貰う確率が下がるのと、ほのぼの系パターンへのストーリー転換、そもそも、僕らのような人間にとっては異世界モノを無知で一生を生きるなんて無理なのですから推奨しません。チートスキル獲得については、2と3番で獲得しますので、安心してください。)
【2.神様に対しアドバンテージを持ってること】
これは異世界転生において、かなり肝となる項目です。アドバンテージ、つまり神様に対して優位となる材料が必要となる。これはチートスキルを授かるのに重要なものだ。もしも僕が、容姿端麗で、スポーツ万能、声を出せば森羅万象全てが振り返り恋をする。そんな人間だったならば、チートスキルは愚か異世界転生の切符を授かることすらないだろう。その時点で負けている。だから僕のように、凡人凡麗、僕が声を出せば森羅万象が無視またはなかったことにする。こんな材料を持ち合わせた時点で勝ち組なのだ。僕はこれらをしっかり守り切って人生を終えたのだ。もしもこれを読んでいる同類諸君、君たちは既に勝ち組だ。安心するがいい、流行がいつの間にかに廃れ、新たなものが流行りだすように、人生廃れてばかりでない。我々はいつぞやに来る流行の前準備をしているだけなのだ。僕はそれを信じ続けた。つまり僕のアドバンテージはこうなる。
・凡人凡麗
・死ぬまでモテない。
・死ぬまで恋愛経験なし・女性経験なし
・死ぬときに独り身
・死ぬまで守り切った穢れのない【栄光】
僕はこれだけのアドバンテージを持って、神様の査定に臨めるのだ。
「えっと、じゃあ鈴木太郎さんの過去を見させていただきますね」
「はい! お願いします!」
「えっとぉ、これはこれは、なんだか、んー」
「えぇ、なかなかのもんでしょう」
「そうですね、なかなかですね、、、」
「神様、それにこれを見てください! 僕の栄光を!」
そうして僕は、下半身を丸出しにした。そこには森羅万象の全てを光で包み込む、純粋無垢な栄光が露になる。諸君、勇気を出せ、ここぞとばかりは躊躇をするな。
「こ、これは、、」
「ふっふっふ、神様、これほどのモノを見たことありますか?」
「頑張ってたんですね、、、泣けてきます」
俺は神様の涙ぐむ姿を見て、勝利を確信した。
「貴方には、可能な限り、望むものを捧げましょう」
【3.神様は大きな武器になる】
この項目は、厳正にいる間の前準備というよりも、この現世と異世界との間である、神様との会話できる時間にやっておきたいことである。
それは神様の懐柔である。神様はチート能力を持った僕以上に最強のキャラクターだ。この登場人物をバックアップキャラクターとして押さえておくのは必須項目ではないだろうか。僕はあらゆる文献を読み漁ったが、やはり最強のキャラクターと思うのは、チート能力を持った主人公ではなく、神様が主人公のことを好きになり、異世界に介入してくる物語の主人公だと思うのだ。神様は最強だ。もしも自分の思い描いた異世界ライフにならなかった場合、どうにかしてくれる存在というのは、異世界最強のヒロインでもなく、勇者や賢者でもない、実は最強の両親とかでもない。神様だ! これ以上の最強kyらくたーはいないのだ。
だから僕はこう思うのだ、神様を懐柔し、出来るだけ自分の生きる異世界に介入させよ。
神様はいろんな種類がいるだろう。例えば一つの世界を見るタイプ。これならば簡単に懐柔もできるだろう。異世界転生者が僕一人ならば尚に良い。もう一つは、異世界を複数管理するタイプだ。この場合少し難しくなるだろう。僕の異世界の他に管理せねばいけないのだから、日ごろも忙しい。なかなか僕の世界を構ってはくれないだろう。もしかしたら、僕より前に異世界転生をしたやつがいて、そいつが既に懐柔してる可能性すらある。そうした場合、僕はまず、どうにかして神様を懐柔させることに全力を尽くさねばならないのだ。皆に告ぐ、神様を懐柔させるまで、必ず異世界になんか転生するな!
もしも神様が女性の場合、全力で惚れさせろ。恋ほど良いものはないぞ。恋は感覚を麻痺させる。もしも男の場合。親友になることをお勧めする。時に親友というものは、恋人より強し。とにかく相手がどういう神様で、なにを欲しているのかを考えるんだ。(もしも貴方の恋愛対象が同性の場合はこれの逆をすればいい)
僕の場合、女性の神様だった。とにかく転生する前に彼女を惚れさせる。しかも、彼女はとてつもなく可愛い! 可愛すぎる! そして綺麗だ! やはり神様は侮れない。僕が現世で見てきた女性の良いところを全て取るような容姿をしている。これについては良いことではあるが、難しいところでもある。何故なら僕は、恋愛経験なんて皆無である。女性の口説き方なんて、知る由もないのである。しかし、あきらめてはいけない。皆、ここが人生最大の天王山だと思え! それまでの現世の行動など堕落すればいい。すべてはこの時の為だ。俺は絶対に彼女を惚れさせる! 「神様を惚れさせた男」だぜ。最強の自信につながるではないか。
「あの、神様」
「は、はい」
「彼氏、または夫となる神様はいますか⁈」
「ド直球ですね!! まぁいませんけど」
(よし!)
「神様! あなたは可愛い!」
「へっ⁈」
「そして美しい」
「えっあっ」
「どうか、僕と一緒に異世界ライフを!!」
(どうだ⁈)
「あ、ありがとうございます。初めて言われたので嬉しいんですけど、異世界に一緒に行くことはできないんですよ」
(くそっダメか、しかし良い情報を得た。初めてという事は、俺が初めての転生者でないにしろ、神様は懐柔されていない。僕が必ずや彼女を惚れさせよう)
「神様、何か困ってることとかありませんか?」
「そ、そうですね。んー、私、他にも異世界を管理してるんですよ」
(なるほど、他にも異世界を管理しているタイプか)
「そうですか、つまり、他の異世界を管理するから、忙しくて僕と一緒に異世界に来れないんですね」
「ま、まあ、そういう感じにしましょうか」
「大丈夫です。安心してください」
「なにがですか?」
「僕にもその業務手伝わせてください! 神様の負担を減らしたいんです!」
「それは無理ですよ、私も怒られちゃいますし」
(くそっなかなか手ごわいな。どうしよう。ここは、、)
「神様、恋って知ってますか?」
「あぁ、人間の子が子孫を残すためにする前段階ですよね」
「まあそうです。しかし、そんな合理的に治まるようなものではないんです」
「はぁ」
「僕はこれまで、恋愛というものを誰かと一緒に育んだことはありません。ですが僕が異世界転生をした後は、多くの方たちと恋愛をし、最強のハーレムを作ります!」
「それ言っちゃうんですか?(笑)」
「はい、僕は貴方に嘘をつきたくない。僕はとても苦労すると思います。ですが絶対にあきらめません! そして是非とも神様にもハーレムに加わってほしいんです! 僕を見ていてほしいんです!」
「つまり、私は貴方のサポート役ですか? 貴方が失敗したら助けてほしいんですよね」
「そうです」
「なら、、」
「でもね、神様。僕はもう最高に惚れてるんですよ」
「ん?」
「こんな美人で可愛い神様をハーレムに入れられないで、僕の夢がかなうわけないでしょおおお!!」
「えええ⁈」
「お願いします! 神様、貴方がいないとダメなんです。僕のハーレムに加わってください! 何でもします!」
「なんでも、ですか、、、」
「はい、何でもです!」
「わ、わかりました。なんだか貴方の人生に興味が湧いてきたので、ちょっとだけあなたの事を気にかけてあげます」
「ほ、本当ですか!」
「はい、それで、貴方が本当に、夢を叶えたら、少しは考えます。その代わり、約束事が一つあります。これは誰にも内緒ですよ?」
「な、なんですか!」
「——————。守ってくださいね」
「そんなことですか? 絶対に守ります」
「では、やっと異世界に転生ですね」
「はい、お願いします」
「それで、なにか欲しい能力とかありますか? 特別に何でもいいですよ」
「それはもう決まってす」
「あら、なんですか?」
「種族はエルフでお願いします!」
転生せずには始まらない。だが、とにかく神様というキャラクターは大事だし、その後に起こるイベントもすべてが大事だ。僕はこのように神様の確約を取って見せた。皆もがんばれ。僕はこれから最高の異世界ライフを送って見せる。
はじめましての方は初めまして。
なんか友達とよく話してたことを書こうかなと。
次からエルフ出ます。