電車で向かいの席に座るJKを眺める話
苦い。
胸中にじわりと暗雲が広がる。
差し込む夕日が眩しい時刻の在来線。
田舎だからか乗客はまばら。
向かいの座席ではしゃいでいる生足の女子高生グループ。
こちらは普段着で一人。
私も彼女たちと同じ年齢のはずだ。
どうしてこうにも道を違えてしまったのだろうか。
彼女達が青春を謳歌している頃、私はバイトと孤独な勉強に明け暮れている。
自分は好きに過ごしていて、お金を稼いでいることも生きていることも誇りに思う。
……そんなものは自分が折れないための鼓舞でしかなくて、実のところ私は彼女達に憧れている。
どうしようもなく苦い。
冷や汗が垂れる。
逃げよう。
ブレザーもセーラーも、特有の笑い声も直視する余裕はない。
駅名を告げるアナウンス。
開いたドアに身を差し込むように、静かに電車から駆け下りた。
ここには1人。
灰色が続くホーム。
ひやりと冷えたこの空間に安心する。
ここには誰もいない。
次の電車を示す電光掲示板。
大丈夫。
私はどこにでもいける。
自分が人生を諦めなければ、きっとこの苦い気持ちも過去のものになるのだろう。
さて、どこへ行こうか。
私は自由だ。