「怖い話は嫌!」
「・・・そしてそこには近未来区から商業区まで車で引きずった女性がこう言ったの、【今度はお前が引きずられる番だ!】って!」
「「キャ〜〜〜!!」」
夜深くサナエは突如始まった怖い話に絶句して絶叫して半ば半泣きながらも枕を抱きしめた。
アスカも物凄く怯えて毛布にくるまっていてクラフトさんは何だか顔が青いけど耐えている。
「あはは!皆カワイイ〜♪マジうけんだけど!抱き合っちゃって〜あはは〜」
語り部のエミは私達の行動にゲラゲラ笑いながらお茶菓子を食べる。
私達は恐怖で一杯になり暫く泣きながらその場から離れなかった。
一通りの怖い話をするとエミは何故か横になり寝ようとしていた。
「ちょっと何寝ようとしてんのよ?」
「眠くなってきたしランプ消すね」
私はそのランプを強奪してエミを起こす。
「いや、アンタ達マジ信じてる系?あんなのデマっしょ?怖がり過ぎだって子供じゃないんだからさ」
それでも起こす、恐怖で染まり明かりまで消されたらヒステリックになる自信がある。
「うぜーって!寝かせてよ!?アタシもう寝ないと明日まじしぼむよ!?」
「だ、だってぇ・・・もしかして本当かもしれないし・・・」
「クラちゃんに頼め・・・うわ・・・怖がり過ぎて端で毛布被ったまま丸まって寝てる・・・そんな怖い?」
「怖いわよ!?あ、アスカ!今日は抱き合って寝ましょう」
「う、うん」
エミ以外錯乱状態で一人になると多分襲われるに違いない。恐怖心に全身を侵され物音が鳴るだけでビビって怖くてたまらなかった。
深夜・・・
エミを起こした。全然眠れない、それなのに突然尿意が・・・お手洗いは長い廊下を歩かないといけない、そんなの絶対に無理。襲われたらどうするの!?
もしエミがでっち上げたとしてもよ?本当にそういうのが昔から存在して馬鹿にした奴等に憤り引きずられて殺されたら?
心臓が破裂しそうになる、無理無理無理無理!!怖くて尿意が決壊しそうになる。
身体は正直ね、でも朝になってない。あの廊下よ!?夜だと真っ暗よ!?
「エミ・・・お手洗い行きたい」
「勝手に行きなよ」
「怖いのよ!!いくら私が可愛いからって冷たくしないで」
「あっそ」
「ダメダメダメ、起きて!漏れちゃう!」
「勝手に行きなってアタシ寝るの」
「うっ・・・ぐす・・・お願い・・・ワタシ・・・」
「わーたわーた!ちょっと落ち着きなよ!」
「・・・うん」
エミに介抱されたその翌日の朝、私は頬を引っ張り怒鳴る。
「よくもあんな怖い話聞かせてくれたわね!!」
「あんなに怯えてたくせに朝になったら元気にならないでよ!アタシ、寝不足気味になったわ!!」
話によるとあの後、アスカもクラフトもお手洗いに付き合ったらしい。
結局大喧嘩して二人で半泣きになりながらも怒鳴っているとエミはおかしな事に気付く。
「・・・あれ?アタシって“お茶菓子”食べたけどよくよく考えたら誰が出したんだっけ?」
「はぁ?アンタ持って来たんじゃやいの?」
挑発気味に口を滑らすもエミは少しずつ青ざめていた。
「いや、“いつの間にか”あったような?怖い話してる最中でついで感覚で食べたし、あの二人は怖かってたし・・・」
は??????
「それじゃあ一体・・・」
「誰が持ってきたの?」
「「・・・・・・キャぁぁぁぁぁぁぁ!!!!???」」
おしまい。




