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「あの日の私は人間だったのか?」

「深夜に此処が開いてるなんて知りませんでした」


「ふふ、私の気分次第に延長してるのでお気になさらず♪何飲みますか?」


 私は取り敢えず仕事終わりに酒を飲みに来ました。多忙な毎日に癒しを求めてもいるのはノアさんと見知った顔が二人。


「五星の奴が夜更かしかい?」


「珍しいな?」


 珍しい組み合わせです、ユウガさんにクラフトさんはカウンターを相席して飲んでいましたので私も混ぜもらうことにしました。


 少し経つと酒に酔い、少しは気が紛れます。まるで過去の自分を見詰め直してる気分になり少し嫌ですね。


「そういやキリヤマさんは五星になるまで闇星で生活してたよな?」


「あん?そーなのか?」


 二人の会話に小さく頷くとその日は少し上の空で独り言ように口を走らせていました。


 私は元々光星に所属してしまいましたが当たり前の日常に増えていく犯罪に嫌気が差していました。どれだけ治安を改善しても根っこから生えた物は表面しか刈り取らず放置していた日が続き、お恥ずかしい話ですが私は目立つのを避けて身嗜みにも拘らず常に平身低頭な人間でした。


 そんなある日、親が何者かに殺され、犯人は直ぐ捕まりましたが・・・この星は殺人は軽い罪と処理されて二年で牢屋から出て来ました。


 私は怒りに任せて殴りに行きました、半殺しにした結果何故か私は五年も牢屋にいました。


 殺人は軽くて暴力は重い、この星の命は軽く扱われ、牢屋内で暴力を振るわれてもお咎めなし。


 牢屋の看守を買収すれば自由だと・・・私は何もかも失い近未来区のベンチで魂が抜けていました。


 そんな私に天啓が降りました。捨てられた雑誌に【法を超えた者に正しい罰を!】と日本の警察官が正義を振り翳し治安を守る写真に惹かれて私は【この星を変える】事に執着して服装を警察官のような服装にして髪を整え、眼鏡を変えて夜に蔓延る悪を滅し、見事警察隊のリーダーになり単独で闇星に暮らすことになりました。


「そんな過去が・・・」


「ん?でもよ、そんな奴が何で五星になったら治安維持と借金の取り立て屋になったんだ?」


「良い質問です、世の悪人は叩き潰すと闇星から学び、私も人を殺すのに何も感じなくなりました、ふふ・・・今ではどっちが悪人か分かりませんね」


 少し誇張してしまいましたが概ね真実、悪人を見抜くなら自分も闇に堕ちる方が一番分かりやすい。


 今の話を聞いて二人は少しだけ呆れていました。


「なんじゃそりゃ?ミイラ取りがミイラになるってか?」


「結局は地に堕ちたほうが近道だったのか?」


「はい、ですのでこれからも守り続けますよ?私、人間味が強いので法を蹴る人は地獄に蹴り落とします、私自身に“法律”は通じませんからね?」


「最早悪人だ」


「正義の悪人か・・・もう分からないな」


 元よりこっちの方が性に合ってるのかもしれませんが過去よりも現在の方が私的には比較的良い暮らしが出来ているでしょう。


 もしかしたら私はあの日から人間を辞めてしまったのか?その答えは皆目見当がつきません、今はこうして酒に酔いながら答えを探すとしましょう。

 

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