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ある青年の悩み

 「この前、お前さんあの水素と水になったんだってな。その時ペアになった二人の水素、核融合してヘリウムになったらしいで。」

「まじか。まぁ、あの二人は水素の割に太ってたし、核融合されてもしかたないか。」

 僕には、ある一つの悩み事がある。それは、視覚と聴覚が常人じゃ比べ物にならないほど、優れていることだ。それも、年を重ねる毎に増している。視力は、原子も見えるくらい。そして聴力は、この日本在住の全員の心音が聞こえるのはもちろん、原子が喋っている言葉がわかるくらいだ。勿論、最初は原子が喋っていることは想像もつかなかった。それが、生命が宿っていることがわかったのは、ほんの数日前。その前は、誰かが何かを、喋っていることすらわからなかったり。

 その日にきに、その言葉が誰に向けられているのか気に掛けてみた。まぁでも、言葉と認識できない時でも、頭がかち割れるくらいうるさかったし、情報量が多かったから、数日で目と耳以外に、例えば常人並みの嗅覚に意識を向けるとそこまで聞こえなくなった僕を褒めて欲しいくらいだ。それでも満員電車を十編成くらいならべて、その中間に立ち、両耳から、一km先まで届く大声が聞こえてくる感じだ。それに、脳も変化していると思う。産まれた時から、人より五感が良かった方だが、それでも人の限界があった。それが今になっては、原子の会話が聞こえるくらいだ。普通の脳なら、とっくに燃え尽きているだろう。だったら、脳も変化してないとおかしいし、最近になって人がスローに見えたり、聞こえたりする。僕の身体は、とっくに人成らざる者に、今で言う人を卒業したのかもしれない。

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