1話 ②
「罪人のくせに随分と上から目線だな。自分の立場が分かっているのか?」
「うぇっ!す、すみません」
「はぁ、行くぞ。」
彼がそう言うと、部屋が突然揺れ出した。床は唸り、机や椅子も大暴れだ。
「うわぁぁぁあ!」
怖い、怖すぎる!逮捕される前に此処で死ぬんじゃないか?!
「騒ぐな。うるさいぞ。」
こいつメンタル強すぎないか??
しばらくこの揺れに耐えていると、
僕の周りを白い光が覆い、眩しさのあまり目を瞑った。
もう開けても大丈夫か、、?
そっと目を開けると、そこには何もなかった。いや正確には、白だった。この世界にドバッと白いペンキがかけられたみたいな。でも足元には自分を映し出す湖が広がっていた。
「なんか、綺麗…」
「それは良かった!」
「?!」
突然背後から声が聞こえた。
振り返ると、そこには小5くらいの少年が立っていた。
白い着物、長い髪を結っていて、
淡い紫の瞳を持った少年。
「先生、ご足労お掛けしました。」
先生、僕の逮捕を決めた人!この人に説明しないと僕は絶対に無罪にならない、、
…にしても、
この少年が、この男の〝先生〟って…
顔を代わる代わる見てみたが、
脳がバグを起こしそうだ!
もっとこう、強面な人かと思ってた!
「お前、今絶対失礼な事思ってただろ。」
「ギクッ」
この男、勘が良い。
「あはははっ!2人とも、仲良さげな所申し訳ないけど、僕も春翔君とお話ししてみたいから、鐔瑪は先に戻っておいてくれる?」
「ちょ、先生俺は全k」
「行ってらっしゃい〜」
この人の思考回路が物凄く恐ろしい…!
いったい何処をどう見たんだろうか…
「あっあの、先生!僕、罪とか犯した覚えが無くて!なんか、エネルギーとかなんとか言われたんですけど、分からなくて!」
「うん、分かってる。今日は君にその事について話に来た。」
「えっ?」
分かっている。という予想外の言葉に、俺は拍子抜けになった。