何もしてくれない
北の山里に住む者どくとくの言葉がはずかしくて、ここではしゃべれなかったという女は、セイテツの胸に囁き、額をつけた。
――― 山里のモンは、都のモンとちがって、自分たちで米とか野菜、つくんです
それが、今、なにもねエんです
里人たちは山にわけいり、動物や自生した植物をとり、どうにかしのいでいる。
年ごろになった者は街にでて稼ぐことにした。
女たちは、言葉のなまりを気にせず、いちばんの稼ぎになる、茶屋にゆく者が多い。
セイテツさま、と女が白い顔をむけ、涙を流しながら訴えた。
――― 北の将軍さまは、なにもしちゃくれません。
里のモンは、どうなンでしょう?
――――――――――
「 ―― ほお。それで、女に『おれがどうにかしてやろう』、とな?」
参の宮の大臣である女が、にんまりと扇子をひろげた。
「かっこいいな、テツ。それ以上女に惚れられて、どうするよ?」
四の宮の大臣が、きたない無精ひげをぼりぼりとかきながら、からかう。
弐の宮の大臣は、あいかわらず薬をつくるという名目で出張っておらず、壱の宮の大臣は、腕をくみ、悲しげに黙っている。




