『おぼおさま』
スザクが首の数珠をとり、腕をつきだす。
トクジが刀の鞘をにぎりなおし、セイテツが一瞬で右手に『気』をためた。
「 ・・・・お、ぼおさま ・・・ 」
構えた男たちの前にいきなり現れたのは、カンだった。
汚れて細い子どもは、この寒さの雪の上に、素足だ。
「お、おい、おまえがカンだろ? オユキちゃんたちは? おまえが迎えにきたオユキちゃんたち、いったい、どこに行ったんだ?」
手をおろし、ゆっくりと近寄ったセイテツが、子どもに視線にあわせるように腰をかがめてうかがう。
――― この子が、死人だって?
たしかに、どこにも『おひさま』の匂いなど、させていなかった。
だが、こちらをうかがう目は、困って助けを求める、普通の《こども》のものだ。
「どうした?なにがあったんだ? ―― みんな、どこに行ったんだ?」
セイテツの優しい声に、困ったように顔を振ったこどもが、その後ろにいる男たちをみた。
「 お・・ぼおさま・・・、 た、っげて・・・ 」
いっぺんに口元がゆがみ、涙をあふれさせた子どもを抱きしめようとした男の着物を、坊主がひいた。




