表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/91

オニができたか

 とたん。



 吹き上がる雪を割るほどの速さで、なにかが引きさがる気配。


 おう、と首をふるわせそれを見送ったアラシが、山をみあげた。




「 こりゃまた・・・どうするよ。サモン、―― 」

 

 雪の上に、男のやいばが斬りおとしたものが残った。


 ひくひくとまだ動く、細長い枯れ枝のような先についているのは、獣のように固くとがった爪だ。



「―― 指、か」


 よく見れば、獣のような爪をつけたそれには、曲げるための節がある。


 認めたくはないが、それはたしかに『指』だった。



 めずらしく、男の口が、悲しみではない、うめきをもらす。



「――― ・・・・・『オニ』が・・・。できたか・・・・」



 まだ動くそれの切り口からこぼれたものが、雪を赤くする。



 そっとしゃがみこんだサモンが、つまみあげようとしたとき、弾かれたかのようにそれがとびかかった。


   

        「っサモン!」



  わきを飛び去ろうとした『指』に喰いつき、アラシはそれを飲み込んだ。




 顔をおさえた男の指のすきまから落ちた血が、



  ―――― 雪を赤く染めた。








    ※※※






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ