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おとぎばなしまえ ― オニのはなし ―  作者: ぽすしち
 ― オニ退治をする男 ―

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39/91

待っておりました


「 ―― あんた、わざと受けただろ?」

 

 ほめられたトクジが、ため息のような笑いをもらす。


 サモンの両腕の着物がきられ、布が、赤い血を吸い始めていた。



「いや。本当に強い男で助かった。 わたしも加減できる自信がなかった。 なにしろ今は、この通り ――― 」


 言葉の途中でがくん、と膝が折れたサモンに、セイテツは駆け寄った。


 そこでようやく、遠巻きにこちらを心配そうに眺める壱の宮の兵たちに気づく。



 スザクが、兵の中でも顔なじみの側近を呼ぶ。


「おい、サモンの『オニ』は退治した。もう近寄ってもなんともねえぞ」



 とたんに、うようよと大きな男たちが湧き出てくる。



「 スザク殿、そちらの御仁ごじん高山たかやま御坊おんぼうか? まことにすばらしい太刀たちで、われらもいたく感服いたしましたぞ」


 サモンの側近、ボッコウがトクジに頭をさげた。

 四十をすぎているが、体も頭もずば抜けた男で、サモンをいまだに子どものように扱うことがある。

 


 倒れたサモンにわらわらと寄った兵たちが、椅子や水さしを持ち寄り、あっという間にサモンの着物をぬがし、傷の手当てを始める。




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