表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/91

雪解け水

『おとぎばなし』シリーズまえシュンカが宮に来る前のはなし。

主に顔に傷のある男と壱の宮の大臣の話となっておりますので、シリーズ別枠、ということでごらんください。。。。



 



 さらさらと流れる水を眼に、季節がようやくめぐるのだと、肌に射したうすい陽の色を、確かめる。


 厚い雲の切れた間に、久しく目にしていなかった空の色もある。



 だが、吐く息も、辺りの景色もまだ、白いままだ。



  ――― こっがらあったかくなって、葉っぱがワサってでてきてな、



 女の白い手は赤い。

 雪が溶けてできたその水は、ひどくきれいで、ひどくつめたい。



 ――― そしたら花が、ほろほろさいてよ、



 嬉しそうにひたした手の先から、赤い水が流れてゆく。




 ――― 草だって川だって起きっから、生きモンも起きンのさ




 まだ、小さな流れの川は、あっという間に赤く染まり、あっという間にそれを流す。



 女は一心に、その手についた血を洗う。


 血は流れていったのに、女の白い手は、水の冷たさで、


    ―― やはり、赤くもどるのだ。





 ――― そしたらもっと、食うもんも、とれっからな



 しゃがみこんだそば、赤くなった雪。

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ