⑧ 理想の政治体制は“AI”が自動的に政策を決める世界
質問者:『誰も投票に行かなくても政治が決まる』と言うことでしたが、一体どう言うことなのでしょうか?
筆者:まずは、前提の状況を振り返っていきたいと思います。
現時点において民主主義よりも直接民主制度の方がより良いと思われながらも、
様々な手間や国民への負担、などのコスト面での観点から民主主義の方が多く採用されています。
しかし、政府が“数の暴力“をもって重要法案を通過させてしまった場合、次の選挙まで国民が意思表示をする場面が乏しいと言うことが大きな課題にあります
ですが、その“重要法案”というのが憲法以外の法律の間では区別することはとても難しいものがあります。
投票するべき争点が多い場合は“投票疲れ”が発生するからですね。
このように、法律ごとに投票を行うことを“争点投票”というわけなのですが、
非常に多くの課題があるわけなんですね。
質問者:なるほど。スイスでもそうですけど、いちいち投票しなくてはいけない。そしてその法律を決めなくてはいけないのは非常に大変ですね……。
筆者:そんな中で一部の学者の方々が考案されている政治方法として考えられているのが、AIによる政治判断をする社会です。
有名なところですと、最近色々なコンテンツで登場されているイエール大学助教授の成田悠輔先生などが提唱されている論理です。
質問者:成田さんは知っています。色々とご活躍されていますよね。
でも、そう言う方がおっしゃっていても何だか現実味を感じないんですけど……。
筆者:現時点ではかなりハードルが高いものがあるのも事実です。
現時点ではデーターベースを担っていたり、技術開発でリードをしているビックテックが情報操作をしているのではないか? という疑惑がありますからね。
ただ、ソーシャルメディアや検索エンジンの運営側が、情報の投稿や閲覧を制限しているということは一定の意義があるとは思います。
なぜなら、ヘイトスピーチや暴力を促すものなど害を与えるコンテンツや、真実と異なるもの、誤解を招くものを規制するというのは当然だからです。
しかし、自社もしくは自国政府に不利になるものなどを意図的に規制するなど表面上のお題目以外での様々な目的で行われるという要素があることも忘れてはいけません。
また、情報統制などの判断基準が企業の裁量に委ねられているという点も課題としてあると思います。
質問者:なるほど、現時点のビックデータを取り扱う企業に関しては規制条件が曖昧なので信頼がおけないと言うことですね。
筆者:そうなります。しかし、ブロックチェーンやメタバースなどの未来の技術により政府やビックテックに縛られないデジタルプラットフォームが完成する可能性はあります。
そう言う技術をベースにした政治体制だとお考え下さい。
質問者:そうなると、早くても数十年後という感じになりそうですね……。
筆者:そう言う条件がすべてクリアされた未来の政治体制ですが、
SNS上に投稿された無意識なビックデータから多くの国民がSNSなどで支持することや、
“こういう世界に世の中がしていきたいんだと”自然に汲み取るということができるようになります。
これにより、デジタル化を通じてこれを国民一人一人に真意を問うことが事実上可能になっていきます。
また、争点ごとに、その争点に利害を持つマイノリティ、その争点項目についての専門家が話している内容などの票の重さを重くするといったことがブロックチェーンなどの技術も可能になりますので、その問題により深く関わる人の意見を尊重するといった合意形成、法改正を行うことが可能となります。
質問者:なるほど……しかし、日々の自分の投稿がどこかから監視されている感じがして嫌な感じもしますし怖いですけどね……。
筆者:まぁ、今もGAFAMのコンテンツを使っている限りにおいては一定の監視がされていることは十分想定されますからね。
ちょっと今だと考えにくいのは僕も思うのですが、完全に文化として社会に根付いた後だと抵抗がない可能性はあります。
監視している機関やシステムに信頼が置けるという前提が絶対条件としてありますが、
自分の生活や情報を代わりに管理してもらえると考えるとより多くの人に受け入れられる価値観である可能性はあります。
質問者:なるほど……平成の初めまでは皆がパソコンやスマートフォンを1台ずつ持つだなんて考えられませんでしたから、パラダイムシフトのようなことは起きるかもしれませんね。
筆者:このAIによる政治システムに関しても国民からの意思を汲み取るという面ではかなりの効果を発揮しますが課題もあると思います。
なぜなら、合理的な代表者や専門家の判断の方が圧倒的な集団の漠然とした考えよりも信頼できると言うことも否定はできないからです。
専門家などの票を重くするといっても限界があると思いますからね。
まぁ、これらの課題については②で触れたスイスの直接民主制度の課題と近いモノはありますね。
質問者:つまりは、国民全員で勘違いしているケースがあるということですね?
筆者:そうなります。影響力のあるインフルエンサーが勘違いしていたり、他の国の情報機関のプロパガンダや洗脳合戦が行われ、今よりもより多くの認知戦のようなことが起こる可能性があります。
質問者:確かに今でも世論操作が行われているかもしれないのに、直接的に国民の声が政治に反映されると“情報操作のし甲斐がある”と言ったことにもなりかねませんね。
筆者:そう言った最善の選択を阻害するような要素を排除できるシステム作りを確立しないと中々難しいかなと思います。
今いる政治家や国民とのコンセンサス(社会的合意)も含めて、実現できるのは100年後とかそれ以上先になってもおかしくない制度かなと思います。
それまでは仮説や思考実験の段階から当面の間は出ることは無いでしょう。
質問者:一見して良さそうなことに関しては結構課題が多いんですね……。
筆者:ここまで人類が政治的な問題に対して取り組んできました。
しかし、数多の政権や政治システムが淘汰され到達したのが民主主義ですからそれを変えるというのはやはり並大抵のことでは無いですからね。
その民主主義を完全に超えてしまうようなシステムを作るのはかなりのハードルを乗り越えなくてはいけないと思います。
ということで、最後にこれまでの項目についてまとめて僕なりに結論を出していこうと思います。




