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① 全体主義・共産主義よりマシだったというだけの民主主義

質問者:今回は今の民主主義の政治が問題があると言うことですが……一体どう言うことですか?



筆者:これまでのエッセイと被る内容もあると思うのですが、初見さんのためにもう一度書かせていただきますね。


 現在の民主主義に至るまでの過程として振り返っていきますと、

 まずはどこの国も王政又は絶対君主制度のような一つの機関に極端な権力が集中しているという構図でした。


 ですが、その君主は国民が選んだものでは無いために不満が産まれてきました。

 そこで、18世紀以降では世界的に革命に近いことが起き、民主政治が行われるようになりました。

 ところが、ナチスドイツを始めとして、不満を抱える低所得者層から絶大な支持を得て民主的に選ばれた全体主義体制の国がうまれていきました。


 これは、家族・教育・地域などの文化的基盤を破壊することによって人々に拠り所が無くなり、

熱狂的にリーダーシップを取れる指導者が支持される傾向にあるためです。


 しかし、それらの国は暴走し再び倒れ民主主義国家に戻ると言ったことを繰り返しているというのが全ての国ではありませんが多くの全体主義国家の現状です。



質問者:確かに、世界には全体主義国家と言うのは未だに存在していますものね……。



筆者:実を言うと、人口比率で行けば7割以上は全体主義や独裁主義国家という話もあります。

 特定の国が大きく稼いでいる感じはありますがそれが現実です。


 生かさず殺さずと言った感じで国民を適度に苦しめているので反乱する気を起こさせないと言った要素も全体主義国家にはあると思います。



質問者:全体主義国家が無くならないと言うことは、やはり、民主主義の体制には何か欠陥が存在していると言うことですか?



筆者:そうなります。今回はそんな欠陥を分析し、どうすればそれが軽減していくかを見ていこうと思います。


 日本にフォーカスして考えて見ますと、とにかく戦後は「55年体制」と呼ばれる1955年以降はほとんど自民党が政権を取っています。

 昭和の間においては、確かに戦後の混乱の日本をまとめ上げ高度経済成長に導いたという実績はあります。


 しかし、平成に入りバブルが崩壊してからと言うもの、日本は全くと言って良いほど成長できなくなってしまいました。

 

 僕が思うにマイナス面は実は昔からあったのですが、上手くいっていたからこそ誰も指摘していなかったというだけだと思うんですよね。


 マイナス面とは、利権と外圧、派閥の調整によって日本にとって最善の政治が選ばれていないという事実です。



質問者:どうしてそのようなマイナス面が克服されないのでしょうか……。



筆者:日本においては、野党が与党の欠点を指摘するばかりで政権を取った時の青写真を提示できていないことが問題だと思うんですよね。


 実際に90年代と2010年前後に短期間政権を取った時もそれが露呈してしまいすぐに自民党が復権したという経緯があります。


 これは消極的かつ相対的に“自民党のほうがマシだ”と多くの人が判断しているからであり、

 絶対的に自民党が評価されていると言うことを意味しているわけではありません。

 

 裏付けのデータとしましては、実際に内閣府が公表している令和3年度の『社会意識に関する世論調査』の中の『国の政策への民意の反映程度』という項目を見て見ますと、


『国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか聞いたところ、「反映されている」とする者の割合が31.8%(「かなり反映されている」1.5%+「ある程度反映されている」30.4%)、「反映されていない」とする者の割合が66.9%(「あまり反映されていない」50.2%+「ほとんど反映されていない」16.7%)となっている。

 

 性別に見ると、「反映されている」とする者の割合は男性で、「反映されていない」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。

 

 年齢別に見ると、「反映されている」とする者の割合は70歳以上で、「反映されていない」とする者の割合は18~29歳から50歳代で、それぞれ高くなっている。』


 と、3割程度しか国民しか意見が反映されていると思っておらず、特に若者と女性は意見が反映されていると思っていないようです。


 つまり、野党が“与党の驕り”という状態を間接的に許していると言うことになっているんですね。

“与党のほうがマシ”というイメージでほとんど勝ち続けていると言えます。



質問者:そうは言っても共産主義や全体主義国家も問題ですよね? 崩壊しているわけですから。



筆者:共産主義・全体主義体制はより集権的で官僚制が必要な時点で、貧富の格差というのは露骨に広がります。

 更に、労働意欲を削ぐために完全な共産圏の国家と言うのは今世界でほとんど成功していないと思います。


 民主主義は資本主義社会とリンクしていると思うのですがその中で、富の分配を如何に行うかという資本配分の技術に課題があります。


 利益を得ている者に関しては、グローバル化に伴い横断的に利益を得ている企業や人などに対して、租税回避地などの存在もあって、お金を持っている方に対しての課税が非常にしにくい事になっているのも一因としてあります。



質問者:最近の日本政治ですと住民税非課税世帯に対する保障というのが多いと思うのですが、

 今の状態では富の分配というのは有効に行えていないのですか?



筆者:住民税非課税世帯がどれぐらい存在しているのかというのは、自治体によって基準は異なるので確定的な数字を言うことは出来ないのです。

しかし、給付される住民税非課税世帯1600万世帯のうち70%以上は65歳以上の世帯と言われているんですね。


 つまり、3割弱にしか現役世代と言われる方の支援になっていないわけです。

僕の印象としては「高齢者優遇政策」の名前が変わったバージョンなだけという感じです。


 ただ、実態が分かりにくい数字なので実情を知らない国民の批判は交わせるという政府としては頭の良い政策かなと言えますね。


 特に、年収300万円などの働いているのに給料があまり貰えていない方に対しての支援は乏しいと言えます。



質問者:確かに本当に苦しいのはそう言う方ですよね。



筆者:しかし、そう言った生活に苦しいながらも必死に働いている方というのは往々にして、

政治への関心を持つ余裕や色々なことを調べる時間を取ることは難しいのが実情としてはあります。


 そのため選挙に行くこと無く棄権してしまっている。若しくは選挙に投票行っても何も変わらないと諦めてしまっている。

 そう言う現実が若者ほど投票率が低いという事実に繋がっているんだと思うんですよね。



質問者:つまりは、忙しすぎるか、日々の生活は政治によって変えられないと諦めてしまっているんですね……。



筆者:そうですね。しかも、実際の政策はマニフェストなどで書かれていることと別だったとしても咎められることはありません。


しかも、政策ごとに民意を届ける機会と言うのがパブリックコメントなどと言った拘束力のないモノしか存在しないというのも問題としてあります。


 こうした現代の政治課題をどうすればいかに解決若しくは軽減していくことができるのか次の項目から見ていこうと思います。

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