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at200 人には過ぎた力

作者: 草鹿午午

平行世界という体制を開始し、様々な手段で可能性を拓かせた。

時間遡行や未来予知の奇跡・神秘・神業・魔術・魔法。

あるいはそれらの機能を持った器具や装置を与えたり。

魔力を使えなかった文明には、遺伝子に干渉し異能や超能力として与えたり。

天才的な発想として時空移動・高速演算の設計図を与えたり、オーバーテクノロジーとして発掘させたり、宇宙から落としたりもした。

しかし、不満という程でもないが、まだ限界でもない。

手段を選ばず、例えば平行世界から平行世界へ何か送ってみたりしようか。

エネルギーでも物体でも、平行世界からという時点で刺激にはなるだろう。

共通ではなく独自、つまり送り先からすれば未知で新発見なら尚更。

おまけに数も少ないし。

既知でも出自が不明なら何か起こるだろう。

既知だからこそ出自の異常に気付けるかもしれないし。

未知のエネルギー、未知の金属、未知の生物。そういう創作の娯楽も多い。


あぁ、でも、エネルギーは観測できるだけで良いとしても。

金属は探査機か母星に接触させる必要があるし、生物も尚更だ。

ある程度、生物の近くに送る必要がある。


………………

………

……


そろそろ人間だ。人間は細菌や微生物と違って脆い。地表に送っても死ぬだろう。

大気の成分は勿論、太陽光の周波数や生態系も少し違えば死ぬ。

酷い者は平行世界を移動したショックで精神崩壊する時もある。

大前提として大抵の平行世界の人間の生活圏で飲まず食わずで死因の1%以上が餓死になる程度で良いだろう。謎の死体を送っても刺激にはなるだろうけど、人が死んで可能性が減るのも考えものだ。……まぁ、複製人間で良いだろう。


……兵士を送っても盗賊にしかならないな。なら民間人か役人。

しかし役人はその平行世界の可能性を大いに拓く。

複製でも良いが失踪した元の平行世界の可能性も拓かれるし。

まずは、そこそこ愛されている民間人にしよう。

失踪の影響の為にも友好関係は不可欠だ。となると平和で技術もある世代。

該当する文明に、「異世界転移」というジャンルの創作娯楽がある。なるほど?

どうせなら転送の時に可能性を分岐させよう。人の想像に合わせて演じる道化の可能性、完全に神の都合で転送する可能性。これだけで二つ。得だな。

創作とはいえ前例があるなら可能性も拓かれる。

送る民間人は似たような発想のある文明からにしよう。

役人には効率が悪いだろうし、別の案が必要だろうけど。

「これは、まさか異世界転移?!」


「そうだね。

()は運が良い。君の世界の娯楽に準えて、君の望む世界に、君の望む力と共に送り出そう。勿論、呼吸できない無重力空間とかじゃなく、生存可能な環境に、だ。」


「えっと、じゃあ……」



「剣の精神空間の一部・全体切替可能な具現化、ね。良いだろう。」


「ありがとうございます!えっと、神様?」


「間違ってはいない。それだけでもないけど。じゃ、行ってらっしゃい。」



「精神空間の改造により精神崩壊。

まぁ、最低でも人格は変わるし、個人としての死は確定かな。

次は娯楽関係無い可能性か。」



「これは、まさか異世」


「違う。いや君の想像とは違うが言葉は合っている。

強制的に平行世界を移動させる。」


「えty」



「……二年も生存するとは。まぁ本人の運もあるだろうけど、良い結果だ。」



「ゲームの世界で、死んだ人物を救う力が欲しい、か。」


「……だめ、でしょうか?」


「そのゲームが平行世界を感知して得た発想なら簡単だが。

残念ながら完全に空想の世界の様だね。少々難しい。」


「では……」


「製作者の思考・記憶から造り出す。能力もその記憶の中のを与えよう。」


「神様パねえ!ありがとうございます!」


「うむ。まぁ信仰心も不可欠ではないがあって困る事も無い。感謝したまえ。」


「それはもう!」



「……そのゲームでも特別な能力を持つ者は全て人外だったろうに。

まぁ、目的の人物は助かった様だが、人格はボロボロだな。あ、討伐された」




「そもそも創作に合わせないなら対話の必要も無いな?」



「三日で死亡、と。まぁ、運が悪かったね。」



「恋愛ゲームの世界でハーレム、ね。……セーブ&ロードも付けようか?」


「いや、流石にそれは……ざまぁ展開とかも多いし……」


「まぁ、ファンタジー世界なら記憶の保護とかもできるしね。賢明な判断だ。」


「あ、ありがとうございます……?」


「あぁ、恋愛感情が無いから君のハーレムには加わらないが、鑑賞はさせてもらうよ。プライバシーは無いが、性欲も無いので諦め給え」


「えぇ……まぁ、はい。有難き幸せ……?」



「重要人物も一般人も全員に惚れられて人間関係が拗れまくる。

まぁ、教育された王族とかに効くんだから当然だよね。

で、お?恋愛の為に魔神召喚とは完全に箍が外れてるねぇ。

……

………貴様が召喚者だな?契約内容は恋の成就。

残念ながら彼女が愛されるのは神の力によるもの。

それを覆すなら兎も角、彼女に愛されるならb」


「それで十分です!対価は私以外の彼女への恋情!」


「一度失ってもまた惚れ直すだろうが……時間稼ぎにはなるか。

良いだろう。植え付けられた恋情も望まんだろうし、相思相愛に発展する出来事が多くなる様に未来を確定させた。貴様でも努力すれば彼女を手に入れられるぞ。」


「はい。感謝します。偉大なる神の使い魔。」


「……そこまで調べたか。中々、良い才能だ。

……

未来を綴じられたのは問題だな。召喚を妨害する世界も拓くか。」



「精神病による衰弱で一年後死亡。ただし社会的・技術的な進歩に大貢献。

まぁ、明らかに成功の部類だね。」



「魔術の存在する世界で、大魔術を使いたい」


「……まぁ良いけど。魔術関連の学習能力を高めようか。」



「別に平行世界から転送させる必要無いよねこれ。」



「やぁ、よく来たね。」


「……アンタが、俺を転移させたのか。」


「うん。時間の無駄を省くなら、主神として神託を下したのも、邪神として啓示を与えたのも、魔王を発生させるのも勇者を選ばせるのも、戦争で大量の死者を出したのも、君や君が大切に思う者達も何度も危機に陥らせたのも僕だ。」


「なんのために」


「平行世界を増やす為。当然、君が転移してから平和な平行世界もある」


「何故、増やす」


「僕の為、だね。最終的に、増えた全ての平行世界で救世主を誕生させる。

大量の救世主と、大量の魔王を吸収して弱体化した僕が戦う。

そうすれば、僕にも負ける、戦死する可能性のある戦いができる」


「そんな事の為に」


「権利上は問題無いさ。両方の世界を創った神からも許可を得ている」


「あんな事を」


「これ以上は時間の無駄だね。世界の終末まで、決着はお預けだ。」


「待―――」



「ああいうのを、チーレムって言うんだよね

………

……そういえば、転生というジャンルもあるか。

しかし、肉体は変わるのに幽体はそのままというのは……

殺す幽体と転生先の肉体を特別に改造すれば……

……面倒だが、やってみるか。」



「トラック……轢死……謎の空間……これは!」


「どんな世界に、どんな能力で転生したい?」



「万物の死を点や線として補足しなぞる事で殺す魔眼、ね。

肉体的にも精神的にも、かなりハイコスト・ハイリスクだと思うけど。」


「切り替えとか魔眼封じとかあれば何とかなると思いますし……

流石に人体実験はされたくないので程々に安全な世界でお願いします」


「まぁ、君がそう願うのなら。」



「精神崩壊後に変死。一年足らず。何がしたかったんだ」



「平民として生まれ、口減らしで奴隷に。

死なない程度に酷使され、重病を患いコスパの為に切り捨てられ死亡。

労働の為とはいえ生活が保証されていんだし幸運な方じゃない?」



「田舎暮らしに困らない能力……曖昧だね。

あと、転生する世界は田舎暮らしができる世界で良いのかな?」


「はい。その……スローライフとかに憧れてたので」


「送る候補の世界基準で田舎だとスローライフどころじゃないね。

もっと現代っぽい世界に送ろうか。単純な才能と一緒に」


「単純な才能……?」


「転生だから人格は変わらないけど、田舎の仕事とかを身体で覚えやすくなるし、身体が鍛えられやすくもなる。田舎暮らしの為の才能だよ」


「あ、神基準で、とか世界規模とか人類以外を含めたりは……」


「分かってるよ。田舎の、常識的な人間の内の才能だよ」


「ありがとうございます……」



「生まれた時からの異常性に育児放棄、それでも自力で生きるんだから村八分。

まぁ、転生してる時点で非常識なんだから、分かりきった結末だったよね。」



「貧乏な農村で生まれ、異常性も上手く隠して生きる、が隠し通せず。

村の士気を保つ神輿にされながら生き、獣に殺され死亡。

民族性の違い、という奴だね。」



「時を操る、とはまた……別に良いけどね」


「あ、良いんですか?割とダメ元だったんですけど」


「確かに強力だけど、だから何か問題があるというわけでもないし」


「でも制限無しですよ?自分の過去に戻るのも、過去の世界に移動するのも、時間停止も加速も減速もなんでもありですよ?」


「いやまぁ、過去に移動するのは兎も角、過去に戻っても連続性は消滅するだけだし、人間が時間停止しても自分の思考も一緒に停止するだけだし、加速は生身だと音速が限界、減速も使い所は限られるし」


「あの、時間の影響は自分だけ受けない感じで」


「独立した時系列ってこと?にしたって大気圏なら同じでしょ。

過去に戻るならできるけど加速減速は変わらず、時間停止も空気が固まって身動きできずに窒息するだけだし、空気を無視しても服が停止するでしょ」


「……空気と服が動いても?」


「毒ガスには無力だし移動にも使えないでしょ?」


「…………というかそもそもなんで神様がこんな事を?」


「平行世界の開拓だね。君を転生させれば、君が転生しなかった平行世界から君が転生した平行世界が分岐する。その後の君の行動でも更に、ね。

それが目的だ。

僕がやっても良いけど、僕以外がやる分岐も有るに越した事は無い」


「……」


「まぁ、時間停止とかは細かい定義を決めず【「君」が時間操作だと認識する全ての能力を使える】って事にしようか。時間操作の仕様も認識次第って事で」



「時空の歪みを察知され、一年足らずで忌み子に。ループして精神崩壊。

主観では四年強。予想通りすぎて反応に困るな。」



「鉱物となり、そのうち考えるのをやめた」



「制作能力、健康な身体、戦闘能力……つまりは、とても優秀な転生先だね?」


「はい。お願いします」


「……ま、いいか」



「いくら優秀でも、存在する以上は同等以上の存在の可能性もまた存在する。

そしてそれらを最も抱えているのは国家であり、新たに優秀な者が生まれれば当然確保しようとする。なら余程の事情で国力が低下しているなら兎も角、平常運転の国を相手に優秀なだけの個人が逃げられる筈も無い。

国から逃げられずに優秀な生産者として老衰し衰弱死。

夢とは違っても、理想的な死に方だろう」



「前世の知識で得をしようとして国の開発者に……大して変わらないな?」



「全てを望むがままにする能力?」


「いい、でしょうか?」


「良いけど、どうなろうと責任は取らないよ?」


「はい。それは流石に仕方無いと思います。」


「……じゃ、できるものなら頑張りな

……

……絶望し、未来から生まれる前の母体ごと焼却する。

まぁ、そもそも神は人間が望んだままの存在でもないし。当然だね。」



「平均的な能力、ね。」


「はい。お願いです。」


「お安い御用だけど……まぁ良いか。じゃあね」



「平均的な人生で終わる。これでは転生させる意味が薄いな。」



「色んな意味でR18……悲惨な人生としては平均的な部類か。」

いわゆる「チート」の様な、強大な能力を与えた方が平行世界は拓かれやすい様だ。

しかし、個性的すぎたり、強大すぎては力に耐えられず選択の幅が狭まる。

つまり平行世界が綴じられる。

創作ではなくその送り先の世界の、世界規模ではなく一天体規模程度の強さが良いだろう。

つまりはマイナーな英雄ぐらいの能力か。

それ以上は転移・転生者自身の才覚や能力も必要だ。

ただし異世界の創作がある文明なら、勇者が限界、それも数百年に一度程度だ。

同じ世界でも、娯楽が無い戦争中なら救世主と成り得る者も居るのだが。

まぁ、それは別の時で良いか。

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