第1部・第2話 ~さらわれた親友
この話でようやく主人公登場となります!
まだ変身はしませんが(苦笑
はるかな昔。
この世界とは別の次元に住む人ならざる者……魔族たちが、この世界を征服しようと攻め込んできたことがありました。
その魔族たちの侵略は、神様の手により阻止され、魔族たちは元いた世界に追い返され、こちらの世界と魔族たちの住む世界とをつなぐ通路はかたく封印されたのです。
しかし、やがて時は流れ……。
この世界に潜んでいた魔族の生き残りにそそのかされた愚かな男の手によって、その封印は解き放たれ、再び魔族がこの世界に攻め込んできたのです。
しかし今回ばかりは、神様の手でもどうすることもできませんでした。
神様たちの世界に悠久の間引っ込んでいたことが災いし、かつてのような力を失っていたのです。
魔族に征服されてしまうであろう人間たちの世界の未来を憂えていた神様の目に、一つの希望が映ったのはその時でした。
人間の、それも若い少女たちの持つ純粋な思いが、強い魔力の源になることがわかったのです。
神様はすぐに、純粋な思いを魔力に変え、戦うための力とする道具……発動具をたくさん作り、それを自分の羽から生まれた使い、あんばるに託し、人間の世界に送り出しました。
かくして、発動具によって戦う力を得た少女・魔法少女たちと、魔族たちとの戦いが始まったのです……。
* * *
さて、トリアと志保の二人が向かった町中の一角。
その商店街を二人の少女が歩いていました。
一人は、肩までの栗色の髪の少女・上藤汐。もう一人は、黒い背中までの長髪の少女・下坂凪。
仲良く談笑しながら歩く二人。二人は幼稚園のころからの幼馴染で、とても仲の良い親友同士でした。
ふたりとも、今までのような幸せな日がずっと続くと、そう思っていました。
ですが、そんな二人にも、魔族の手は忍び寄っていたのです……!
「汐ちゃん、今日の学校も楽しかったね!」
そう笑顔で話しかける凪に、汐も笑顔で答えます。
「そうだね! でも数学の先生の授業ねむかったなー」
そう言って、汐はあくびを一つ。それを見て、凪はまたくすくすと笑います。
「ははは。あの時の汐ちゃん、とても眠そうだったもんね」
と、そこで、何かを見つけたらしい凪は、ふと声をあげました。
「あれ? なんだろう、あれ?」
凪の言葉に、汐も凪が見ているほうを向くと、そこには、細い脇道にちょこんと立っている悪魔のぬいぐるみのような小さい影が。
凪はその影をじーっと見ていましたが、やがて、魅入られたかのように、ふらふらとぬいぐるみのほうに歩いていきました。
「凪!? どうしたの!?」
汐が、凪にそう声をかけますが、凪はそれに耳を貸さずに、ふらふらとぬいぐるみに向かって歩いていきます。
何か危険を感じた汐は、凪を引き留めようと、彼女のほうに走っていきます。
ですが、彼女が凪に追いついた、ちょうどその時!
「……!?」
突然、周囲が醜悪な色の空間に覆われたのです。
「な、なにこれ!? た、助けてえええぇぇぇぇ!!」
その悲鳴を最後に、汐は醜悪な色の空間に飲み込まれました。
二人の魔法少女……トリアと志保が駆けつけたのは、ちょうどその時だったのです。
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