第1部・第1話 ~二人の魔法少女~
ある時、ある町の公園。
銀髪の少女と、黒髪の少女がそこで舞っていました。
二人の踊りの相方は、異形の存在。人型でありながらも、形容しがたき異様を持つものでした。
重厚な鎧を身に着けた黒髪の少女は、異形の振るった腕を、持っていた弓で振り払うと、その弓を構え、異形に狙いを定めます。
そして放たれた矢。光で作られたそれは、狙いあやまたず、異形に全て突き刺さりました。その威力に、異形は暴れまわりのたうちながら、表現しがたい悲鳴をあげました。そこに接近する銀髪の娘。
異形が気が付いた時には、銀髪の娘は持っていた剣を振り下ろしていました。
刃は、異形を切り裂き、異形は断末魔をあげながら、消滅していきました。
「ふぅ……」
銀髪の少女が剣を収めると、その身を包んでいたドレスのような衣装は光となって消え去り、銀髪の少女の姿はブレザーに身を包んでいたものになりました。その彼女のもとに、黒髪の娘がやってきます。彼女の服も、銀髪の少女と同じブレザーに戻っていました。
「トリア先輩、お疲れ様でした!」
笑顔でそう言う黒髪の少女に、銀髪の少女……トリアも微笑んで返します。
「ありがとう。志保もお疲れ様。今日も大変だったんじゃないかしら?」
トリアがそうねぎらうと、志保は首をブンブン振って、笑顔でジュースの缶を渡しながら答えます。
「いえいえ! これくらい、私とトリア先輩なら楽勝ですよ! はい、ジュースをどうぞ!」
「ありがとう」
缶ジュースを受け取り、二人そろって喉を潤します。ほっとした安らぎのひと時。
そこに、子犬のようなふわふわした生き物がやってきました。
「あ、二人とも、もう魔族倒したんだね!」
「うん。楽勝だったよ、ポーティ。それで、どうしたの?」
ポーティと呼ばれたもふもふしたものは、志保の頭に乗っかると話し始めました。
「うん。この近くに、魔法少女の素質を持つ少女がいるみたい。でも、その子を魔族も狙ってるらしいんだ。だから、その子が魔族の手に堕ちる前に保護したいんだ。頼めるかな?」
ポーティの説明を聞いたトリアは、立ち上がると表情を引き締めました。後ろに座ってた志保も、真面目な顔で立ち上がります。
「わかった。すぐに行こう。その子はどこにいる?」
「うん、こっちのほうだよ!」
そう言うと、ポーティは町中に飛んでいきました。二人を先導するように。
そして二人も。
「よし行くぞ、志保」
「がってん承知!」
そう言葉を交わすと、ポーティを追って町中へと消えて行ったでした。
主人公は次の話で登場になります。
今回出てきている二人は主人公ではないのであしからず。