四神
初めての投稿作品です。
第一章「対テロ戦争」
いつの時代にも戦争が起きるときはある。そして、戦争が起きれば、今まで存在しなかった、新しい何かが生まれる。特攻隊などがその例であるといえる。
今、世界はテロとの戦いが続いている。そして、この対テロ戦争においても、今まで存在しなかったあるものが生まれた、これはこの対テロ戦争によって生まれた、そのあるもに属する者たちの物語である。
東京郊外にあるとあるアパート、すぐそばに大きな川がある。そして、その川には大きな水車があり、水車のすぐそばには、同じく大きな発電機があり、ケーブルがアパートに向けて伸びている。
そのアパートも、屋上のほうに、大きな風車が2台あり、太陽光パネルが敷き詰めてある。
このアパートは、かなり前に住民が去っている。そして、とある環境団体によって買い取られた。今では、太陽光、風、そして水力発電により、この大きさのアパートに対し、どの程度の規模の電力を賄えるのかを調査するために、研究員が住み込んでいる。という話が、公に発表されている。
しかし、今、このアパートのとある一室で二人の男性が話し込んでいる。昼間なのにカーテンは閉め切っている。二人とも、長身でがっちりした体形をしている。年齢は30代後半と、20代半ばである。
どうみても、二人とも学者には見えない。ふたりとも、目つきが鋭い。特に30代後半の男は、顔に右頬にナイフで追ったかのように見える、傷跡があり、いくつもの修羅場を潜り抜けてきたように見える。まさに傭兵、活動家といっていい外見だった。
「どうなんだ?」
年上のほうの男が聞いた。
「作戦に変更はありません。計画通りに行くとのことです。」
若いほうの男が言う。
「何の変更もなしか。俺たちがここを買い取って3か月。準備は万端。このまま予定通り行けば、確実に成功する。だけど、なんだか妙だな。」
男はいう。
「何がですか?」
若いほうの男が聞く。
「こう言って花だが、3か月間、行動を起こすために準備をしてきた。もちろん、慎重じゃなかったわけじゃない。常に用心はしてきた。警戒を怠ったこともなかった。だが、経験から言って。こんなにも、作戦に変更がなかったなんてことはなかった。何らかの形で、俺たちの動きは見られていることが多かった。結果的に、作戦は変わり、予定を変更してきた。成功してきたこともあるし、失敗もある。それこそ、計画を中断したこともあった。だからこそ感じる。経験から言って、何かおかしい。」
男は言った。その言葉の裏には経験から裏打ちされたものが感じられる。
「指令がそういうからには、確かに変なんでしょうけど。それじゃあ、どうしますか?」
若いほうの男が聞く。
「人員を増やす。そして、情報を探る。計画に多少の変更はあるだろうが、それほど大きな変更をするつもりはない。」
指令と呼ばれた、30代後半の男は言う。
「分かりました。本部に伝えておきます。」
「指令。」
二人しかいなかった部屋に、また別の男が入ってきた。こちらも、三十代前半で中肉中背だが、学者という感じはしない。
「どうした?」
指令と呼ばれた、男は入ってきた男に聞く。
「外のほうなんですが、何か妙な集団が集まってきています。」
男は答える。
「集団?」
若いほうの男が聞き返す。
「はい。高校生くらいなんですが、十数人くらいいます。大きなケースをたくさん持っています。」
男は説明する。
「ケースだと?」
指令も聞き返す。
「はい。楽器か、あるいは撮影機材が入っているようなケースをたくさん持っています。」
男は答えた。
「どこかの高校が、部活か何かの撮影でもするんじゃないですか?」
若いほうの男が言う。
「いや。最近、少年兵を扱う政府の特殊機関があると聞いたことがある。その可能性はゼロとは言えない。」
指令と呼ばれた男はそういうと、クローゼットを開ける。そこには、AK47やUZI、グロック17といった銃器が大量に入っていた。
「まさか。子どもなんかにビビってちゃ。」
若い男は言った。
「甘いぞ。世界中に少年兵はたくさんいる。かつて起きた大テロで、たくさんのテロ孤児が生まれた。そいつらが少年兵になって復讐に走ってもおかしくない。」
指令は、二人の男にAKを渡しながらそう言う。
「指令。見てください。」
中肉中背の男は双眼鏡を、指令に渡す。指令が双眼鏡をもって窓から外を見る。その横に若い男が立つ。
「見たところ、普通の少年。若者って感じですけどね。」
若い男が、AKを抱えながら言う。
「そうだな。だが、わからんぞ。先ほどの違和感と、今までここには誰も近づかなかったのに、急に少年たちが集まりだした。長年の経験から、どうにもやな予感が。!?逃げろ!!」
指令と呼ばれている男が急に叫んだ。三人の男は急いで、部屋から出る。三人が部屋から出たとたん、ドアの向こう側で爆発が起きた。
「敵襲だ!敵襲!全員、戦闘準備!相手は少年兵だが、手加減はするな!殲滅しろ!」
指令は、ポケットから、無線を取り出すと、それに向けて叫ぶ。
「すこし派手だったかな?」
155㎝くらいの、背中まで髪が伸びた、茶髪の少女が言った。その手にはRPG-7が握られている。
「確かにな。本来なら、潜入するところからだろうしな。けど、完全な不意打ちだったし、良しとしよう。」
その横にいた少年が言った。少年のほうは黒髪で、肩まで髪が伸びている。身長は165㎝程である。二人とも17~18歳くらいだ。
「全員に逃げられたら厄介じゃない、勇魔?」
少女が聞いた。
「もう、央による潜入部隊の配置は完了している。中のほうはそれほど時間もかからず終わるさ。」
勇魔と呼ばれた少年は言った。
「勇魔、聞こえる。」
勇魔が耳につけている無線から声が聞こえる。
「どうした?央。」
勇魔は答える。
「三番隊の潜入は完了したよ。事前に入手していた見取り図が役に立ったよ。中での戦闘を想定しているのか、かなり改装はしてるけど。見た感じ、個々の司令官。かなりのつわものだね。」
央と呼ばれた少年は無線越しに答えた。
「了解。様子はどうだ?」
勇魔は聞く。
「明かりは消されているね。気配はあるけど、攻撃してくる感じはないね。警戒しているのか、それとも僕らが少年だから、攻撃するのをためらっているのかな?」
央はいう。
「両方だろ。」
勇魔は答える。
「そうだね。じゃあこちらはいくよ。」
央は言った。
「頼む。中也、そっちはどうだ?」
勇魔は別の少年に聞く。
「はい、隊長。駐車場の車は全て動けなくしておきました。こちらは自分たち一番隊で固めています。敵がこちらに来るようなことがあれば撃退します。」
無線越しで別の声が聞こえる。
「了解。俺たちもこれから突入する。分かっているだろうが、なるべき殺すなよ。友子、そちらはどうだ?」
「四番隊の配置も完了したわ。援護は任せて。」
無線から落ち着いた少女の声がする。
「了解。援護は任せた。よし、行くぞ、弓子。」
勇魔はG36を手に取りながら、先ほどの、RPG-7を撃った少女に言う。
「OK。二番隊。私と勇魔についてきなさい!」
弓子と呼ばれた少女は、両手にMP5Kを持つと、後ろにいた少年少女7人に声をかける。全員、15~16歳ほどだ。
「了解!」
少年たちはいっせいに答える。全員、手にG36Cを持っている。
「よし、来い!」
勇魔が先頭に立って走り出す。弓子たちはそれに続く。その途端、アパートの数々の窓から銃弾が飛んできた。