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灯りのあるこの街で (短編集)

幸せのチョコレート

作者: 新垣 電燈

農場主さんの声で目が覚める。

すぐに支度し、カカオ農場へ向かう。

木の上に成っているカカオを取りにいく。農場主さんは取りにいけないので、僕ら子供を使う。小さくて身軽だからだ。

疲れてくるが休んではいけない。休むと農場主さんに怒られる。

夜まで働いて、ご飯を食べ、明日の為に寝る。

家にはずいぶん帰ってないけど、家にはお金がいく。これでお母さんが少しでも楽になればいいな。



ある日、僕が働く農場に知らない人が来た。肌の色が違う。彼らは僕達が働く様子が見たいという。

彼は「カメラ」という黒い何かを僕達に向けながら 喋っている。

「かわいそう」とか「悲しい」とか言っているらしい 。

彼らが、僕らの食事を見て、「こんなに少ない量しか食べれない」とか言っているらしい。



数日後、僕らは農場主さんの見えない場所に呼び出された。彼らが今の生活についていろいろ質問してきたので、僕はそれに答えた。

そして彼らは「かわいそうだから」と、チョコレートをくれた。カカオからチョコレートができるのは聞いたことがあるが、こんな板のような食べ物なのだろうか。食べ物とは思えない見た目に抵抗があったが、甘い香りに我慢出来ず、チョコレートを口にした。





しばらく力が抜けた。

こんな美味しい食べ物があったのか。

近くで取れる果物よりずっと甘く、食べやすい。

きれいに並ぶでこぼこに見とれながら僕はチョコレートを完食した。まだ口の中にチョコレートのべたつきが残っている。彼らはとてもうれしそうな顔をして帰っていった。




向こうの世界ではあんなに美味しいものがあるのか。

向こうの人は毎日あんな美味しいものを食べるのだろうか。

僕らの食べ物は不味いものなのか。

向こうの人は僕らのような生活をしてないのか。

僕らの普通は普通じゃないんだ。



僕は不幸なんだ。不幸な人間なんだ。

どうしてこんな生活をしているのだろう。

どうして向こうの人達のような幸せな生活ができないのだろう。

どうしてこんな不味いものを食べながら生活しているのだろう。

どうして


こんな


こんな気持ちになるのだろう。 チョコレートを食べて幸せになりたい。

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