第97話 農場外伝①~町衣紋さんの同窓会~
農場を出発した次の日の昼過ぎ頃、俺は同窓会が開かれるエランゴララバヤ、ポッパパポパスホテルに到着した。内心、旧友達との再開を心から楽しみにしている。さて、どんな話をしようか。ダーテメッスク・巡露帽司・純が模擬戦の時に落とし穴に落ちてポケットに入れてたおにぎりが泥だらけになった話をしようか。考えれば考えるほど悩んでしまう。いや、今はとりあえずホテルにチェックインをしよう。肝心の同窓会は明日、それまでこのホテルで体を休めよう。そう決めた俺は勢いよくホテルのエントランスを颯爽と前へと進んだ。
***
「あ、あの――。マチウス・町衣紋様……」
一通りチェックインの段取りをしたあと、ふと受付のお姉さんがそう言ってきた。その表情は心なしか曇りに曇ってる。
「どうしました、お姉さん。その不安を俺に話してはもらえませんか?」
「当ホテルは武器の持ち込みは禁止しておりまして……。背中に装備している弓矢は持ち込むことができません」
「な、なに――!」
受付のお姉さんの突然の告白に頭が真っ白になる。ちなみにこういう事態は多々あるがこうまで率直に言われたのは久方ぶりである。
「ち、ちょっと待ってくれ。お姉さんは勘違いしている。この弓矢はまさに心の友だ。その思いはもはや武器としての存在を軽く超越している!」
「あっいや……。お客さま、武器は武器でして――」
「いや、だから武器としての存在を超越しているから武器としての定義を超えてるわけで――」
そんな終わりのない禅問答を行ってる時だった。
「町衣紋、ここは引き下がってはどうだ?」
「な、なに!?」
誰だろうと思い俺は颯爽と振り向く。そこに立っていたのは……」
「お、お前は――。ニコライズ・巡防司・頼勝!」
まさかの因縁の相手との再開に俺は咄嗟に弓を構えて矢を奴のこめかみに向ける。この距離なら外すことはない。
「フッ……。武器を収めな町衣紋。ここは戦いの場ではない。俺達がなぜこの場にいるのか考えてみな」
「ま、まさか――!」
そうだ、明日は同窓会だ。
「そうだ、お互い争うためにここに来たんじゃない。旧友との再会を喜びあうためにここにいるのだ。ここは一時休戦といこうじゃないか」
ニコライズはニヤリと不敵な笑みを浮かべながら俺に対してそう言った。




