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第96話 貯蔵庫決戦②

「ぐっ……」

 時間がたつごとに足の感覚がなくなってくる。今は弟ニコライズと戦っている最中だというのに。何とかしてこの劣勢を挽回しないといけないのだが、肝心の敵の位置を知ることができないのがかなりの致命傷である。


「さぁ、ユキオス君。そろそろ観念したら?」


「まだだ。戦いはこれからだ……!」

 そう言いながら俺は手に持った短剣を握り締める。しかし、今の劣勢を挽回する具体的な手立ては残念ながら思いつかない。


「本当に君は往生際が悪い。でも、そういうとこ僕はカッコいいと思うよ。よし、決めた。君を捕虜にして兄さん達に見せてあげよう」


「な、なに――。グッ……」

 崩れ行く意識の中では俺はどうすることもできなかった。


 ***


「ウッ……」

 意識が戻るのと同時に身体中に激痛が走る。それほどまでに奴の吹き矢は強力だったのだろう。


「ここは――!」

 目隠しをされていて周囲の状況がまったく把握できないが、恐らくどこかへと連れ去られていることだけはわかった。手足の感覚を確かめてみるとどうやらヒモで拘束されているようだ。


「これでやっと落ち着いて話ができるね」


「お、お前は誰だ。弟ニコライズか?」


「そう、僕だ。それにしても君は根性がある。あの吹き矢をくらって約二時間ほどで回復する人物はそうはいない」


「こ、ここはどこだ?」


「馬車で移動中とだけ言っておこう。目的地はここから少々遠いものでね」


「なに……!」

 現状では奴の真意を推測することができないが、ただひとつ確かなのは俺は今、弟ニコライズに捕まりどこかに連行されているということだろう。


「とりあえず結果だけ言おう。君は僕に負けたのだよ。今はそうやっておとなしくしとくと良い」


「グッ……」

 書物を取り返すことも出来ずにあろうことか敵に捕まる――。

 その時の俺は悔しさで心の中がいっぱいだった。


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